日本の観光政策は間違いだらけ、「クールジャパン」の名称は自画自賛で逆効果だ
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<外国人からの意見で多いのは「クールジャパンという名称はおかしい」というもの。日本を愛し、内閣府公認クールジャパン・プロデューサーを務めるアメリカ人が指摘する、改善すべき点とは?>
ニューヨーク州生まれの国際コミュニケーション・コンサルタント、ベンジャミン・ボアズ氏は「クールジャパンのエキスパート」だ。
日本を愛し、2016年からは内閣府公認クールジャパン・アドバイザー、コロナ禍の2022年10月にはクールジャパン・プロデューサーに就任した。東京都中野区の観光大使を務め、国内外の大学でクールジャパンに関する講演も多数行ってきた。
しかしボアズ氏は、「世界が見ている『日本』と、日本が見ている『日本』は異なる」と指摘し、クールジャパン戦略には改善が必要だと考えている。そもそも、クールジャパンという名称がおかしい。
「海外の人たちからの意見の中で最も一貫しているのは、クールジャパンという名称そのものについての意見です。端的に言えば、『なぜ名前を変えないのか?』ということ。英語を母語とする者からすると、この政策名は自画自賛をしているように聞こえて、逆効果に思えます」
ボアズ氏は実際に、クールジャパン官民連携総会に参加した際、手を挙げて、クールジャパンという名称をもっと外国人にアピールできるものに変えられないのかと質問したこともあるという。
そんなボアズ氏はこのたび、コロナ後に日本が観光立国として復活するために、1冊の本を書いた。『日本はクール!?――間違いだらけの日本の魅力発信』(クロスメディア・パブリッシング)だ。
日本人視点の「マイ・ジャパン」から脱却し、海外視点の「ユア・ジャパン」で日本の商品・文化をPRすることの重要性をわかりやすく解説した同書から、一部を抜粋して掲載する(この記事は抜粋の第1回)。
※抜粋第2回:「なぜ外国人観光客は日本の文化を勉強しないのか」と聞かれたクールジャパン専門家は...
ステップ(1)マイ・ジャパンを手放す
海外で日本がどのように見られているかということに関心があります。そうした日本人の自国に対する認識のことをマイ・ジャパンと呼ぶことにします。そのことを証明するように、海外での日本の魅力を紹介する国内向けのテレビ番組や、「クールジャパンアワード」「すごいジャパンアワード」といった賞もあります。
しかし、ほとんどの場合、これらはすべて、日本人が、日本語で、日本人にアピールするために作ったものです。外の世界に向けたものではありません。
これは必ずしも悪いことではありません。むしろ、このような取り組みによって、日本人がより多くの日本の商品を買い、より多くの国内観光をするようになれば、それは素晴らしいことだと思います。海外での反応を知ることで、日本人が自分の国をもっと好きになってくれれば、それに越したことはありません。
個人的には、このようなマーケティングを行わなくても日本は魅力的だと思いますが、私のような外国人が日本を愛していると聞いて、多くの日本人が日本を誇りに感じることを理解しています。