大阪でも受動喫煙防止条例、注目すべき点は?
<附帯決議>
【1】規制対象となる飲食店に対して十分な財政的・技術的支援を行うこと
【2】規制対象となる飲食店に対する支援策が有効に活用されるよう事業者へ広く周知するとともに、活用状況を見ながら必要に応じて制度の見直し等を検討すること
【3】従業員を雇用する飲食店に対する規制の施行(2022年4月~)にあたっては、施行の1年前を目処に受動喫煙の防止に関する府内の進捗状況を把握すること、府民や事業者等の意見を十分に聞いたうえで必要な措置を検討すること
【4】2025年の大阪・関西万博の開催を見据え、公衆喫煙所や屋外喫煙場所等の整備を積極的に行うこと
飲食店経営者の不安に寄り添うこうした決議は、江戸の時代から商いの街として栄え、義理人情にも厚い大阪らしく、全国でも珍しい取り組みと言えそうだ。
たくましい飲食店経営者、気になる助成金の継続性
分煙の推進は喫煙者であれ大いに納得するところだろう。ただし、昭和の時代からコーヒーや酒とたばこはセットで楽しむ習慣、いや文化が根付き、長らく続いてきたのは紛れもない事実。しかも、2年以上にわたるコロナ禍で飲食店が大きなダメージを負い、疲弊していることは想像に難くない。
そんななか、「コロナ以前と同様ではないが、売り上げは好調だ」と気を吐く喫茶店の店主がいる。大阪府茨木市のJR茨木駅前で43年にわたり経営を続ける喫茶店「ぶいえいと」の2代目、在田徹さんだ。
在田さんは2019年の受動喫煙防止条例制定を機に、店内をそれまでの分煙から完全禁煙へと転換した。老舗喫茶店としては大きな決断かと思いきや、在田さんは「私にとって条例は、渡りに船でした」と振り返る。
20年ほど前から食事を取れるカフェへと業態を徐々にシフトしており、「ぶいえいと」は早くから分煙にしていた。だが非喫煙者のお客が増え、近年では禁煙室は満員なのに喫煙室はガラガラという状況もあったという。「ならばと2019年の条例を機に、店内完全禁煙へと舵を切ったのです」
コロナが猛威を振るい始めた2020年春には、いち早くテイクアウトも開始。次いでネット販売も展開したことで、スタッフを解雇することもなく、40年以上にわたる経営を継続できている。
「時代や環境の変化にいかに対応するか。それが生き残れるか否かの分かれ道になると思います」と、在田さんは語る。
喫煙との共存に活路を見出した店もある。茨木市と高槻市でスペインバル「セルべセリア ハポロコ」を経営する三富亮平さんも、2019年の時点で受動喫煙防止条例への対策を講じていた。