大阪でも受動喫煙防止条例、注目すべき点は?
「茨木の飲食店組合に加盟しており、以前より条例は議題に上がっていましたから、組合非加盟の経営者さんより詳しい情報は入手していました。意識も高かったと思います」。そう語る三富さんは、30坪ある茨木店には喫煙ルームを設置。より小さな高槻店には、店舗外の入口付近にデッキスペースを設け、そこを喫煙場所として開放することで、喫煙者、非喫煙者を問わず来店できる店とした。
「喫煙ルームとはいえ、電話ボックスのような小さなスペースです。設置当初は面倒がられたりしましたが、今では特に大きなトラブルもない。高槻店でも、皆さん外のデッキスペースで喫煙していただけています」
自身のスペインバルでは喫煙者と非喫煙者の共生を実現している三富さんだが、飲食店組合員の視点から不安視しているのは、夫婦ふたりで切り盛りするような小さな居酒屋だという。どういうことか。
「小さな居酒屋の多くがコロナ禍では持続給付金を頼りに店を閉めていて、今回の蔓延防止措置明けで店を再開しても、常連さんが戻ってきてくれるかをとても不安がっています。しかも、居酒屋で食事も出すため、店内喫煙ができない。条例施行による不安は大きいと思いますね」
例えば三富さんのお店のように喫煙専用室を設ける場合、厚労省の「受動喫煙防止対策助成金制度」を活用することで、設置費用の3分の2(上限100万円)を助成してもらうことも可能だ。しかし、店舗の規模など適用条件に適さない店舗も多く、また、それまで同様の助成金を実地していた東京都が昨年5月で受付を終了するなど、助成金を停止や減額した自治体も少なくない。
なお、改正健康増進法による「店舗面積100平方メートル以上」の条件を超え、大阪府が「30平方メートル以上」の飲食店を原則屋内禁煙とするのは2025年4月から。違反店舗には5万円以下の罰則が課される可能性もある。
分煙環境の整備を徹底し、喫煙者と非喫煙者との共存を推し進めるためにも、助成金など行政の継続的な支援が不可欠だろう。
かつて「受動喫煙はダメだという機運を徐々に醸成し、飲食店の売上に影響しない土壌を大阪で作ろう」とTwitterで表明した吉村洋文大阪府知事、そして、自らが愛煙家である松井市長こそ、その必要性が分かっているはず。附帯決議の行方も注目されるところだ。