最新記事
シリーズ日本再発見

日本でキャンプ人気再燃! 今度こそ「大丈夫」と期待される理由

2019年07月23日(火)16時50分
高野智宏

Sergio Yoneda-iStock.

<近年、アウトドアレジャーを楽しむ人が増加中だ。だが実は、90年代の第1次ブームのときは現在の2倍もキャンプ人口があったが、その後、半減した。以前と何が違うのか、キャンプ人気はどこまで広がるのか>

バーベキューやキャンプなどのアウトドアレジャーが近年、再びブームを迎えている。週末のバーベキュー場には人があふれ、人気のキャンプ場ともなれば半年先の予約が完売という状態も珍しくない。

日本オートキャンプ協会によれば、(年間1泊以上のキャンプを行った)キャンプ人口が5年連続で増加傾向にあり、2013年の750万人から2017年には840万人に急増。今年はさらにその数が増加すると予測されている。なぜ今、キャンプがブームなのだろうか。

「当協会としては、一過性のブームとは考えていないんですが......」と苦笑するのは、日本オートキャンプ協会事務局次長の堺廣明さんだ。

「要因としてはまず、キャンプ人口が日本の人口比率と連動していることが挙げられます。現在、キャンプを楽しんでいる人の平均年齢が42.7歳で、この年代は人口の多い団塊ジュニア世代。彼らが子供の頃に親と楽しんだキャンプを、今度は自分の子供に技術を教え、自らも楽しんでいるという構図なのです」

人口推計と並びブームを後押しするのが、インターネットの存在だ。通販サイトではリーズナブルなものからプロ仕様のものまで、あらゆるアウトドア製品を購入することができる。使用法やレビューも動画投稿サイトに多数アップされている。

キャンプはかつて、事前にある程度の道具や知識が必要で、敷居の高いレジャーだった。しかし今では、準備のすべてをネット上で完結できるうえ、芸人のヒロシをはじめ、多くのアウトドア系ユーチューバーがその楽しさをネットで発信している。これらもキャンプブームの大きな要因であることは間違いない。

(ヒロシキャンプ【みんな忙しいのでまたソロキャンプ】-YouTube)

100年前の貴族も驚く「おしゃれキャンプ」

近年のブームで際立つのが、若い女性キャンパーの増加だ。その要因としては、野外の音楽フェスや山ガールが話題となったトレッキングなど、周辺のムーブメントからキャンプに興味を持った層がいること、アニメ化もされた女性に人気のキャンプマンガ『ゆるキャン△』が牽引力になったことなどが挙げられる。

そして何より、ツイッターやインスタグラムなど、SNSの存在が大きい。アウトドアウェアやキャンプ用品に洗練されたものが増え、女性が「おしゃれキャンプ」を演出しやすくなったのだ。「キャンプそのものを楽しむこと以上に、『いいね!』と承認されることに歓びを感じる人もいるようです」と、堺さんも苦笑する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

国際刑事裁判所、イスラエル首相らに逮捕状 戦争犯罪

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 5
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中