日本経済のカギを握るのは、外国の資産30億円「超富裕層」たち!?
世界の「超富裕層」が日本に来たがらない理由
本書で言う「超富裕層」とは、3000万ドル(約33億円)以上の純資産を所有する世帯を指す。2016年のデータでは20万人ほどで、世界人口の約0.003%に過ぎないが、彼らの保有資産は世界全体のGDPの3割近くに達するという。
世界経済を動かしているとも言える超富裕層たちが、バカンスの滞在先としてだけでなく、ビジネスの拠点として日本を選ぶようになれば、将来にわたって多額の消費をしてくれることが期待できる。それだけでなく、継続的な投資につながる可能性も大いにある。
確かにそうかもしれない。そして、そうした超富裕層を惹きつけるには「彼らにとって、ゆっくりとプライベートな時間が過ごせる滞在型施設と移動手段」が欠かせないというのだ。
そう聞くと、日本にだって高級ホテルや高級旅館は既にいくつもあり、飛行機も新幹線も全国を網羅しているじゃないか、と反論したくなる人もいるだろう。だがここで重要なのは「彼らにとって」という部分。それがよく分かるのが、超富裕層向けラグジュアリー・レジデンスの値段だ。
2016年に開業した「フォーシーズンズホテル京都」のレジデンスでは、1住戸の値段が推定で4.8億〜13.8億円。2016年に売り出された「プラウド六本木」では最高価格が14億円を超え、今年完成した「パークコート青山ザ・タワー」の最高価格は15億円だ。
だが、世界のレベルはこんなものではない。シンガポールには約55億円、香港には約92億円のレジデンスがあるというが、さらに上もある。ニューヨークの「One 57」は約120億円、モナコの最高級レジデンス「Tour Odéon」」はなんと約470億円だそうだ。
これらに比べれば、確かに日本の施設は"お手頃価格"と言えるのかもしれない。
さらに、超富裕層と言えばプライベートジェット。各国の保有機数は、アメリカが1万3133機(うち民間以外は367機)、イギリス589機(同10)、ドイツ410機(同6)、フランス176機(同34)、同じアジアの中で言えば、中国が245機(同5)、インドが157機(同12)となっている。
それに対して、日本における保有機数は85機。しかも、そのうち58機が政府専用機などで、民間所有はわずかに27機に留まっている。政府専用機などの占める割合が大きい点も気になるが、いずれにしても、圧倒的な差をつけられていることに変わりはない。