日本経済のカギを握るのは、外国の資産30億円「超富裕層」たち!?
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<日本にいま必要なのは、ただ訪日観光客を増やすことでも、日本人の高所得者を増やすことでもない。世界人口の1%未満に過ぎない「超富裕層」の取り込みこそが必要だ。だが、今のままでは彼らは日本にやって来ない>
日本政府観光局(JNTO)の発表によると、今年5月の訪日外国人数(推計値)は267万5000人。前年同月比16.6%増で、5月としての過去最高を記録した。中国(29.3%増)や韓国(14.6%増)のほか、ヨーロッパ各国やアメリカ、オーストラリアからの訪問者数も前年比2ケタ増を記録するという好調ぶりだった。
政府は2030年に訪日外国人観光客を6000万人とすることを目標に掲げ、近年、さまざまな取り組みを進めてきた。人口減少・少子高齢化に直面する中、観光産業には経済の牽引役として大きな期待が掛かっているからだ。その数字は着実に伸びてきており、成果が出ているように見える。
しかし、このままでは「観光先進国」になれないと警鐘を鳴らす声もある。一体、何が問題なのか。
『世界から大富豪が訪れる国へ 日本の極みプロジェクト』(秋元司・著、CCCメディアハウス)によれば、観光が日本経済の動力となり、持続的な経済成長へとつながっていくために必要不可欠なのは、「超富裕層」の取り込みだ。
訪日客は増えたが、日本での消費額は減っている
この本は、国土交通副大臣を務める衆議院議員の秋元司氏を代表に、国土交通省の若手官僚たちが集まった「KIWAMIプロジェクト研究会」が取りまとめた内容がベースになっている。
「KIWAMI」には、あらゆるものの「極み」を尽くした場を作るという意味のほかに、世界の人々が日本に「来て(KI)」「ワクワクして(WA)」「満たされる(MI)」ことを目指す、という思いが込められているそうだ。
ここで提唱されているのが、世界の大富豪、エグゼクティブ、超富裕層......などと呼ばれる人々をもっと日本に呼び込むこと。なぜ超富裕層なのだろうか。それは、観光客の人数だけを伸ばしても、必ずしも日本経済にプラスになるわけではないからだ。
実際、訪日外国人の数だけを見れば、2012年以降、順調に右肩上がりを続けている。2017年は2869万人で、前年から約20%増、2011年と比べると約5倍になった。訪日客による消費額も2017年には4兆4162億円と4兆円を超え、2011年から5倍以上の増加となっている。
しかしながら、訪日客1人当たりで見ると、その額は減っている。「爆買い」が流行語になった2015年の17万6000円をピークに、2016年は15万6000円、2017年は15万4000円。日本を訪れる人の数は増えているのに、ひとりひとりが落としていくお金は減っているのだ。
人口減少と少子高齢化が進む日本にとって、「観光先進国」の実現は国力を高めるための重要な課題だ。さらには観光客のみならず、優れた人材や企業、豊富な資金を海外から呼び込んでいかなければならない。そのためにはまず、日本を訪れる人にもっとお金を使ってもらうこと。だからこそ、世界の超富裕層をターゲットに据えた取り組みが重要になってくると本書は提言している。