何時間でも思い出に浸れる、90年の放送史を詰め込んだミュージアム
「ヒストリーゾーン」の片隅には、番組アーカイブを自由に検索してダイジェスト映像を鑑賞できる「NHK名作選 デジタルサイネージ」が設置されている。手の動きをセンサーで検知して、画面に触れることなく、過去のNHK番組の検索が可能だ。独特の操作感覚に慣れるまで少々時間がかかるが、豊かに蓄積されたアーカイブ映像を楽しみながら取り出せる。
リニューアルで触れてみたくなる展示が増加
3階には他にも企画展示室などがあるが、この階で博物館は終了――と思いきや、まだ最上階の4階が。ここには、約9600本の番組をモニターで視聴できる「番組公開ライブラリー」(利用時間に制限はあるが、ここはダイジェスト映像ではなく番組を視聴可能)と、放送に関する書籍や放送文化研究所の刊行物などが読める「図書・史料ライブラリー」がある。
館内を案内してくれた副館長の浜野伸二氏は、「来場者の興味や関心を惹くために『なんだろう感』を重視しました」と、今回のリニューアルの趣旨を説明する。たしかに「これは何だろう?」と、近づいて触れてみたくなる展示が次々に視界に入り、つい時間を忘れてしまう。リニューアル後、それまで多かった年配者に加え、若いカップルやファミリー層、さらには外国人の来場も増えたという。
リニューアルによって、授乳室やユニバーサルデザインのトイレ設備などが備えられたほか、将来的には、来訪者のスマートフォンに音声案内を直接流すようなサービスをイメージしているなど、誰もが気兼ねなく楽しめる博物館づくりを心がけたいと、浜野副館長は話す。
NHK放送は、多くの日本人にとって偉大な共通体験のひとつ。家族や友人と、気兼ねなく思い出話に花を咲かせながら、より親交を深めるのに最適な博物館だ。
NHK放送博物館
住所:東京都港区愛宕2-1-1
開館時間:9時30分~16時30分
休館日:月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は翌日)、年末年始
入館料:無料
TEL:03-5400-6900
http://www.nhk.or.jp/museum/index.html