共和党支持者がバイデンを後押し? 「ウクライナ支援を減らすべき」と「イスラエル支援はそのまま」が併存する米世論
第三に、発言力の差だ。ユダヤ系はアメリカの金融業や情報産業といったビジネス界だけでなく、アカデミズムやハリウッドでも大きな存在感をもち、世論形成に影響を及ぼすキャンペーンなどで優位にある。
以上3点はアメリカ全体での傾向といえる。ただし、注意すべきは、ウクライナとイスラエルに対する温度差には支持政党ごとの違いが目立ち、これがアメリカの平均的世論の'ねじれ'に深くかかわっていることだ。
イスラエル支援でリベラル派が分裂
アメリカの二大政党、民主党と共和党のそれぞれの支持者の間には、ウクライナとイスラエルをめぐるスタンスに大きな違いがある。
このうち民主党支持者の多くは、ウクライナとイスラエルそれぞれに対する現状の支援を基本的に認めている。民主党がバイデン政権の母体であることから、いわば当然ともいえる。
ただし、その一方で民主党支持者にはガザ攻撃を主導するイスラエルのネタニヤフ首相に批判的で、パレスチナへの人道支援を重視する傾向も目につく。
ガザ攻撃が本格化する以前から民主党支持者の間では、「テロ対策」を大義にイスラエルが占領政策を続け、アメリカが事実上これを容認することへの批判が高まっていた。
つまり、「同盟国としてイスラエルに協力するが占領政策やガザ攻撃には反対」というねじれた態度の民主党支持者が少なくないのだ。
これはアメリカ全体の傾向に影響している。先述のようにイスラエル支援に関するアメリカの平均的世論は「適切な量」が最多だが、「多すぎる」との差はわずかだ。
ギャロップの調査結果をより細かくみると、民主党支持者の間では「適切な量」が最多だったものの43%にとどまり、「多すぎる」が40%だった。今後ガザでの民間人犠牲がさらに増えれば、これが逆転することも予測される。
保守派はウクライナ支援に消極的
これと対照的に、共和党支持者にはガザ攻撃やネタニヤフ政権を「イスラーム過激派への対テロ戦争」の文脈で支持する意見が目立つ。
その結果、共和党支持者はバイデン政権の移民規制や経済対策などを批判しながらも、イスラエル支援に関してバイデンを後押しするというねじれも見受けられる。
これが民主党支持者の間に広がる消極論を相殺することで、アメリカの平均的世論は「イスラエル支援はそのまま」になりやすい。
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