仏マクロン政権の責任転嫁「大暴動は若者の親とSNSとTVゲームのせい」
暴動が発生した各市の市長らとの会議で発言するマクロン大統領(7月4日) LUDOVIC MARIN/Pool via REUTERS
<フランス全土に広がった怒りの暴動は、政府の対応のまずさによって加速している>
・フランス政府は10代の若者に夜間外出を認める親の他、「暴力を煽る」SNSやTVゲームを大暴動の原因としてあげた。
・しかし、マクロン政権はこれまで移民とりわけムスリムの反感を招く政策を数多く実施し、これがデモと暴動を招く要因となった。
・マクロン政権の責任転嫁は「悪いものは外から来る」という論調をヨーロッパ各国で強め、極右の活動を活発化させかねない。
マクロン政権がこれまで差別を認めてきたことは、結果的に暴動を誘発したとみてよい。
「デモ禁止」のインパクト
フランスで広がる差別反対の抗議デモは、フランス政府の対応のまずさによって加速している。
6月27日にパリ(編集部注:郊外のナンテール)で発生した、警官によるアラブ系未成年の射殺をきっかけに広がった大暴動は、商店や自動車の破壊などで10億ユーロ(約1550億円)以上の損失を出したとみられ、3400人以上が逮捕された。
これを受けて、警察は7月8日「デモ禁止」を発表した。
ところが先週末、警察の命令を無視して数千人がデモ活動を行なった。パリ中心部にある共和国広場では数百人のデモ隊が集まり、暴力行為があったわけでもないが、警察によって追い散らされた。
参加者の一人は英ロイター通信のインタビューに「フランスでは表現の自由はまだ保たれている。でも、集会の自由は危機に瀕している」と述べ、不満を口にした。
日本と異なり欧米ではデモが日常茶飯事だが、とりわけフランスは「革命とデモの国」と呼べるほどデモが多い。それだけに「デモ禁止」が多くのフランス人の反感を招いても不思議でない。
SNSとTVゲームも規制対象に?
マクロン政権の対応がかえって反感を招いたのは、こればかりではない。
「デモ禁止」に先立つ6月30日、マクロンはデモや暴動に参加している10代の若者を念頭に「彼らが夜の路上に出ないようにするのは親の責任であって、政府の仕事ではない」と主張した。
さらに翌日の記者会見では「暴動で逮捕された者の1/3はとても若い」と指摘したうえで、「彼らのなかにはゲームの中毒者もいるようだ」と述べた。
マクロンのこうした主張を、ゲームの社会的影響を研究する米ステッソン大学のクリストファー・ファーガソン教授は「時代錯誤的」と批判する。ファーガスンによると、「TVゲームがそうした悪影響をもたらすなら、最も普及している日本、韓国、オランダなどでは流血の惨事が絶えないはず」。
「核兵器を使えばガザ戦争はすぐ終わる」は正しいか? 大戦末期の日本とガザが違う4つの理由 2024.08.15
パリ五輪と米大統領選の影で「ウ中接近」が進む理由 2024.07.30
フランス発ユーロ危機はあるか──右翼と左翼の間で沈没する「エリート大統領」マクロン 2024.07.10
-
外資系顧客向けシステムエンジニア/システムインテグレータ・ソフトハウス
株式会社リファルケ
- 東京都
- 年収450万円~1,260万円
- 正社員
-
転勤無し/税務マネージャー「東京」年収~1000万円「世界5大会計事務所/外資クライアントメイン/在宅勤務有」
BDO税理士法人
- 東京都
- 年収600万円~1,000万円
- 正社員
-
一般事務/メーカー 残業なし/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
「セールスリーダー候補」日系/外資TOP企業の人事・経営層を相手に採用戦略を提案/人材サービス「紹介/教育/研修」/業界未経験歓迎
株式会社リーディングマーク
- 東京都
- 年収400万円~700万円
- 正社員