コラム

少子化対策「加速化プラン」がまさに異次元である3つの理由──社会との隔絶

2023年04月03日(月)15時30分

「家族こそ基本」というのは一つの考え方かもしれない。周囲の子育て世帯からは「本当ならすぐに復職するより何年か子育てしたい」という声も聞く。

しかし、都市を中心に核家族化が進むなか、さまざまな機能を家族が一手に担うことに限界があるのはすでに明らかだ。所得が伸びないだけでなく、数字上は待機児童が減ったとはいえ、望んだ保育所に入所させられる人が一部にとどまる状況ではなおさらだ。

少なくとも、育休取得を容易にするといっても、公務員や一部の大企業社員を除けば、現状で1割程度(これは主要国中最下位レベル)の男性の育休取得や、雇用される者の4割(これは逆に非常に高い水準)を占める非正規労働者の育休取得が、「たたき台」の目指す向こう3年間でどの程度改善するかは疑問だ。

さらに、育休という概念が通用しない自営業やフリーランスに関しては、ほとんど言及がない(これは初期のコロナ対策でも同様だった)。

これで「安心して子育てしてください」といわれて納得できる人は決して多くないだろう。

それを分かっていながら「たたき台」を出したならその場しのぎのやっつけ仕事だし、分かっていないなら多くの人の生活実感とかけ離れた、まさに異次元の感覚といわざるを得ないのである。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

※筆者の記事はこちら

プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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