中国がウクライナでの停戦を呼びかけ──その真意はどこにあるか
中ロはしばしばワンセットで語られる。確かに両国政府には共通項も多いが、一枚岩ではない。国連総会で3月2日に行われたロシア非難決議で、北朝鮮、シリア、ベネズエラなどはこの決議に反対票を投じたが、中国は「欠席」というグレーな対応をとった。
これはアメリカだけでなく、ロシアとも一定の距離を置くという姿勢を示唆する。
冷戦時代から中国は、対アメリカではロシア(当時のソ連)と協力しても、運命をともにするつもりもない。ストックホルム国際平和研究所によると、中国がロシアから輸入する兵器額は2000年に22億3100万ドルだったが、2021年には7億7300万ドルにまで下落した。
ここからは中国が経済発展や技術革新に比例してロシアへの軍事的な依存度を減らしてきたことがうかがえる。
一方、トランプ政権期にエスカレートした米中貿易摩擦に収拾の目処は立たないが、それでも中国にとってアメリカは今も最大の貿易相手国だ。IMFの統計によると、昨年度の中国の対米輸出額は5776億ドルにのぼり、過去最高額を記録した。
いわば中国にとっての優先課題は、ウクライナより台湾、ロシアよりアメリカといえる。
だとすると、ウクライナ停戦をアピールすることは、それでなくとも厳しい交渉が見込まれるアメリカとの間で、多少なりとも障害物を減らすことにはつながる。
こうしてみたとき、中国による停戦の呼びかけは、表面には現れにくい国際政治のあやを浮き彫りにするのである。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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