ウクライナ侵攻で進むロシアの頭脳流出──国外脱出する高学歴の若者たち
おそらくプーチン政権の重鎮たちの頭には、2014年のクリミア危機があるのかもしれない。
欧米の批判や国内の反対を無視してクリミアを力ずくで編入し、それを既成事実にしてきたプーチン政権は、これによって「押し切れば何とかなる」という成功体験を得たことだろう。NATOの東方拡大への拒絶反応が根っこにあるとしても、この「成功体験」がウクライナ全土へのなりふり構わない攻撃を加速させたとすれば、若者の'大脱出'は既定路線にのみこだわって爆進するリーダーへの異議申し立てといえる。
それはかつての成功体験を拠り所にトップダウンの方針をゴリ押しし、部下や現場の声さえ聞かないのに、チームワークだけをひたすら求めるワンマン経営者のもとから人が去っていくのに近い。そうした場合、どこにも行けない者だけが残り、ドロ船はさらに底が抜けやすくなる。
だとすると、ウクライナ侵攻の結末がどうなるにせよ、ロシアの現体制が続く限り、優秀な人材の流出はとまらないだろう。プーチン政権の暴走はウクライナや世界はいうに及ばず、ロシアの将来にも暗い影を投げかけているのである。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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