「水泳をしない生徒は国家を分断させる」──フランスで進むイスラーム規制
しかし、その後のマクロン政権は右派からも左派からも突き上げを受けてきた。
その象徴は、ガソリン税の引き上げ問題に端を発した、2018年暮れからのイエローベスト運動だ。デモ参加者の多くが工事現場などで用いられる黄色いベストを着たこの運動は、ビジネスエリート出身のマクロンに対する「普通のフランス人」の要望を掲げてパリ中心部などを一時占拠し、その規模は「デモと革命の国」フランスでも数少ないほどのものに膨れ上がった。
そのうえ、昨年からのコロナにより、ヨーロッパ各国では政府への不満が高まるのと反比例して極右への支持が拡大しているが、フランスもその例外ではない。実際、1月末の世論調査では、マクロン(52%)とルペン(48%)の支持率が拮抗するに至っている。
つまり、イスラーム社会に厳しい新法をあえて導入することは、マクロンにとってルペンや国民連合の支持基盤である右派を切り崩し、取り込むための選挙戦略の一環といえる。
とはいえ、これがマクロンにとって危険な綱渡りであることも確かだ。これによって右派の支持を期待できる一方、イスラーム社会からは恨みを買うからである。そのため、イギリスの政治学者フィリップ・マルリエ教授は今回の法案を「マクロンの賭け」と表現している。
ただし、たとえマクロンが「賭けに勝った」としても、それがフランスにとっての勝利になるとは限らない。マクロンによる右派取り込みは、これまで以上にフランスでヘイトクライムなど極右の活動が活発化するきっかけになりかねないからだ。その意味で、フランスの分断を抑え込むための新法は新たな分断を生む転機にもなり得るのである。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
※筆者の記事はこちら。

アマゾンに飛びます
2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
「核兵器を使えばガザ戦争はすぐ終わる」は正しいか? 大戦末期の日本とガザが違う4つの理由 2024.08.15
パリ五輪と米大統領選の影で「ウ中接近」が進む理由 2024.07.30
フランス発ユーロ危機はあるか──右翼と左翼の間で沈没する「エリート大統領」マクロン 2024.07.10
-
外資系顧客向けシステムエンジニア/システムインテグレータ・ソフトハウス
株式会社リファルケ
- 東京都
- 年収450万円~1,260万円
- 正社員
-
「セールス」外資ならではの働きやすさ/ホテル業界向けの業務管理システム提供/リモート可/2018年日本支社設立/32カ国・地域に7 000名以上のグローバルカンパニー
Shiji Japan株式会社
- 東京都
- 年収700万円~1,100万円
- 正社員
-
大手町駅徒歩5分 外資系インフラベンダーPM
株式会社スタッフサービス ITソリューション
- 東京都
- 月給23万5,000円~
- 正社員
-
経理マネージャー 外資専門商社「自動車、エレクトロニクス、アパレル等」
外資専門商社
- 東京都
- 年収900万円~1,200万円
- 正社員