アフリカ、アジアだけでなく南米でも大繁殖──「地上の約20%がバッタ巨大群に襲われる」
インドは独立以来、カシミール地方の領有をめぐって隣国パキスタンと対立し、同国を念頭に1998年には核保有に至った。しかし、現在ではむしろ「一帯一路」構想のもと南アジア一帯に勢力を広げる中国をその標的にしているともいわれる。
バッタ巨大群の襲来はこうした中印関係にも影を落としているのである。
社会の変革は間に合うか
コロナがそうであるように、大きな危機は社会を混乱させると同時に、それまでの社会を見直すきっかけにもなる。バッタの大群の襲来は、食糧のアンバランスな配分や民族対立、さらに国境問題など、さまざまな問題を表面化させる契機にもなっている。
歴史をふり返ると、中世という時代が終わり、近代の幕が開いた14~15世期のヨーロッパでは、ペストが蔓延しただけでなく、バッタの襲来も相次いでいたことが、最近の研究で明らかになっている。当時の気候変動がこれに影響したとみられている。
良くも悪くも病気や天災が人間に苦難を与えると同時に社会の変革を促してきたとすれば、三大陸に広がるバッタの大群は、コロナとともに歴史の大きな分岐点となるかもしれない。だとすると、問題は危機そのものよりむしろ、人間が危機を歴史の発展のために活用できるかにあるといえるだろう。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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