【スリランカ】IS犯行声明は「次」の導火線になるか―パリから学べること
しかし、メディア露出を優先させるなら、アルカイダにとってスリランカにこだわる必要はない。つまり、中東やヨーロッパだけでなく、スリランカ周辺のアジア諸国もアルカイダの標的になり得る。
実際、テロは中東やヨーロッパだけでなく、アジアでも発生してきている。例えば、ミンダナオ島の周辺にIS戦闘員の流入が目立つフィリピンでは、2017年だけで692件が発生している(グローバル・テロリズム・データベース)。
ただし、これまで既にイスラーム過激派のテロが目立った国だけが危険というわけではない。スリランカではこれまでイスラーム過激派の活動はほとんど確認されてこなかった。
その一方で、今回の事件に関して、ドイツのイスラーム研究者スザンヌ・シュローター博士はスリランカが選ばれた理由として「簡単なターゲットとみられたから」と指摘している。
だとすれば、スリランカのように、これまでイスラーム過激派の活動が活発でなくても、治安機関の能力が十分でない国、そしてムスリムが社会的な不満を募らせやすく、その一部が国際的なイスラーム過激派と手を結びやすい状況にある国なら、アルカイダの標的となる危険性はこれまでになく高まっているといえる。スリランカ同時多発テロ事件は、次の脅威の導火線になり得るのである。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売
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