140円台の円安、追い風を生かすことが重要
140円台のドル円は24年ぶりの水準だが...... REUTERS/Kim Kyung-Hoon
<9月に入り、1ドル140円台まで円安が進んだ。現状をどう捉えるべきなのか......>
ドル円は9月に入り、1ドル140円台まで円安が進んだ。8月26日のパウエル議長の講演などで、FRB(米連邦準備理事会)の利上げ継続姿勢が強まったとみなされ、ECB(欧州中央銀行)高官からは大幅利上げを主張する発言が相次いだ。米欧長期金利が再び上昇するにつれて、円安が進んだ。米欧中銀の引き締め姿勢が強まる一方、日本銀行の金融緩和を徹底する姿勢は揺るがない。この構図が強固であるため、既に年初から約20%も円安が進んでいるが、円安基調が続いている。
筆者にとっても予想外に大幅な円安が進んでいるのだが、140円台のドル円は24年ぶりの水準であり、歴史的な円安などとメディアでも報じられている。140円台だった前回は1998年8月だが、当時は日本では金融危機が起きていた。当時と同様に大幅な円安であり、日本経済の弱さの象徴であるなどの観点から、円安の負の側面がメディアではクローズアップされ易い。
1ドル140円、24年前の日本の状況とはかなり異なる
もちろん、前回ドル円が140円台だった24年前と、現在の日本の状況はかなり異なる。当時、前年の1997年に消費増税などによる緊縮財政転換で日本経済はマイナス成長に転じ、その後のアジア通貨危機にも見舞われた。銀行の自己資本不足への疑念がくすぶる中で、デフレと資産価格下落によって、不良債権拡大により銀行の資本劣化が進むという悪循環に陥ったが、当時の政治家や当局は危機対応策を先送りした。こうした中で起きた1997年後半からの大幅な円安は、まさに「日本売り」だった。
危機に瀕していたアジアの多くの株式市場と同様に、日本株市場も下落傾向を辿った。当時は米国中心に世界経済全体では堅調な経済成長が続いていた中で、1997年度から日本経済は景気後退に至った。深刻な危機にあったアジア経済が円安で競争力を失うことなどを理由に、「円安を止めるべき」との対外的な批判も聞かれた。
一方で140円台の円安ではあるが、現在の日本の立ち位置は違う。現在、日本経済はコロナ禍からの経済復調が遅れてはいるが、経済不況といえない。デフレ克服にはまだ距離があるが、インフレ率はやや上昇しており、経済成長はプラス成長を維持している。日本が売られているが故に円安が進んでいる訳ではない。株式市場においては、2022年初来リターンでみて日本株は、米国株を久しぶりにアウトパフォームしている。
日本は世界一の対外純債権国
現在の円安ドル高の主因は、日本と米国のインフレの違いにある。FRBがインフレ抑制のために、意図的に引き締めを強化してドル高が起きている。そして、日米経済双方にとって、ドル高円安はメリットがある。なお、対ドルで円は140円台まで年初から約20%下落しているが(9月2日時点)、対ユーロでは円の下落率は約7%にとどまっており、円安の主たる要因がドル高であることは明らかである。
もちろん、円安の影響は経済主体で異なるし、食品、エネルギーなど価格上昇が円安で増幅するので、それが多くの家計の購買力を目減りさせる。輸入企業などにとっては、原材料コストの上昇によって利益の圧迫要因になる。
一方、円安によって、生産・輸出が伸びない中で、輸出企業を中心に売上・利益が支えられる効果は大きい。4-6月の企業利益は、経済成長は緩慢だった中で、円安の恩恵もあり経常利益金額は過去最高を更新した。この企業業績改善は、将来の家計所得の源泉になる。
中国経済の失速・デフレ化が世界金融市場の「無視できないリスク」になる 2025.01.08
【2025年経済展望】期待しづらい中国、外部環境に脆弱な日本、2%成長が続く米国 2024.12.27
日本から学ばず、デフレ・経済停滞から抜け出せなそうな中国 2024.12.12
日本はトランプ政権に「身構える」よりも「見習う」べき 2024.11.28
トランプ再登板・関税引き上げで米経済はどうなるか...「日本経済には追い風」と言える理由 2024.11.12
衆院選敗北、石破政権の「弱体化」が日本経済にとって望ましい理由 2024.10.29
石破政権「金融緩和に反対」姿勢は続く? 日本経済が「ねっとりした」成長になりそうな理由 2024.10.02
-
港区 営業アシスタント「海外ネットワークを持つ外資系総合商社」フレックス/残業月10h/年休120日
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
- 東京都
- 年収500万円~550万円
- 正社員
-
一般事務/メーカー 残業なし/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
貿易事務/流通関連 駅チカ/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
経験5年必須/プリセールス/年商250億円企業/リモート可/外資系企業
SAI DIGITAL株式会社
- 東京都
- 年収400万円~750万円
- 正社員