様式美がクセになる『男はつらいよ』シリーズの不器用で切ない例外
でも出演回数が最も多いマドンナであるリリー(浅丘ルリ子)との関係は、その様式から外れていた。『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』では明らかに2人は相思相愛で、一線を越えた関係になったと思わせるシーンもある。さくらがリリーに兄と結婚してくれないかと頼んだとき、リリーは真顔で「いいわよ。あたしみたいな女でよかったら」と答える。喜ぶとらやの面々。そこへ帰ってきた寅次郎にさくらはリリーの返事を伝えるが、「冗談なんだろ」と真顔で寅次郎はリリーに言い、リリーは笑顔で「そう、冗談に決まってるじゃない」と返す。恋愛ドラマとしてはやっぱり様式美ではあるけれど、2人の不器用さが切ない名シーンだ。
全作を通じてタコ社長を演じた太宰久雄は、渥美清が死去した2年後の98年に逝去した。終盤の作品では、ずいぶん痩せていた。これじゃタコじゃなくてイカ社長だと笑っていたという。なんか切ない。寅さんもタコ社長も、おいちゃんもおばちゃんも御前様ももういない。今の僕にとって『男はつらいよ』は、一言にすれば切ない映画だ。
『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』(1975年)
監督/山田洋次
出演/渥美清、倍賞千恵子、浅丘ルリ子、船越英二
<本誌2021年12月14日号掲載>
フェデリコ・フェリーニの『道』で「欠落の作法」を学んだ 2025.04.16
『エクソシスト』は「怖い」「気持ち悪い」だけじゃない、滋味にあふれた名作ホラーだ 2025.04.04
のちの巨匠2人が組んだ脱獄映画『ミッドナイト・エクスプレス』は成長なき物語 2025.03.07
韓国現代史の暗部を描くポリティカル・ノワール、『ソウルの春』の実力 2025.02.22
タイトルもストーリーも奇妙だけど、甘さと苦みの配合が絶妙な『ガープの世界』 2025.01.23
-
外資系顧客向けシステムエンジニア/システムインテグレータ・ソフトハウス
株式会社リファルケ
- 東京都
- 年収450万円~1,260万円
- 正社員
-
法人営業/担当顧客は小売店/急成長中!外資系プロ用電動工具メーカー
ミルウォーキーツール・ジャパン合同会社
- 東京都
- 年収500万円~600万円
- 正社員
-
東京都港区/外資系企業での一般事務・庶務業務
日本アスペクトコア株式会社
- 東京都
- 月給22万700円~
- 正社員
-
「アカウントマネージャー」 企業の出張に関する包括的なコンサルタント グローバル企業や外資系企業の顧客窓口を担当
株式会社日本旅行・グローバルビジネストラベル
- 東京都
- 年収500万円~700万円
- 正社員