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K-POPをよりディープに味わうために押さえておきたい『韓国大衆音楽賞』の受賞者たち
原点回帰が生む新しい音楽、ナム・イェジ
散漫な視線が生み出すサウンドからにじみ出る "原点回帰"、もしくは"故きを温ねて新しきを知る"傾向は、ここのところ、韓国のジャズの世界でも強まっているのが興味深い。今回のKMAで「最優秀ジャズボーカルアルバム」に選ばれたナム・イェジ『古い歌、すき間』は、そうした流れを象徴する1枚と言えよう。
ナム・イェジはコンポーザー、アレンジャー、作詞家、大学教授、作家としても活動する才媛。彼女はある日、日本統治下(1910年~45年)の朝鮮半島で親しまれていた歌謡曲に興味をもち、その中でもスウィングジャズの影響を受けた曲について調べていくうちに新作のテーマを思い立つ。それは「戦時中に出たジャズ禁止令がもしなかったら、韓国のジャズはどう変わったのか」。韓国の民謡、唱歌、昔の歌謡などをまろやかな歌声と気品のある演奏でリメイクした『古い歌、すき間』は、これこそがジャズの本来あるべき姿だと力強く主張しており、聴いている側も思わず力強くうなずいてしまう。
残念ながらノミネートだけで終わってしまったが、女性シンガーソングライターのチュ・ヘリンを〈今年の新人〉候補に入れたKMAの選考委員には拍手を送りたい。2021年にデビューした彼女が手掛けるサウンドは、シティポップやニューミュージック、AORといったワードで反応する人であれば好きになるだろう。ダンスミュージックやバラードがヒットしやすい韓国では埋もれがちなタイプであるがゆえに、天性の才能にちゃんと光をあててくれただけでも本当にありがたいと思う。
aespa、BIBIなどメインストリームのアーティストも評価
以上のように、海外では見逃してしまいがちなアーティスト・作品をたくさんピックアップするのがKMAの最大の良さである。また、メインストリームの音楽でも良いものは良いと賞の候補になるのも信頼されている理由のひとつだ。第22回ではガールズグループ・aespaが「今年の歌」を含む3部門で受賞を果たし、2024年に主要チャートの1位になったBIBIの「栗ようかん」が「最優秀ポップソング」に決まった。ノミネート作品のリストではIUやILLITなども見つけることができる。
他にもお薦めしたいアーティスト・作品はまだあるが、だらだらと書いてしまうのは気が引けてしまう。後は、KMAの公式サイトや、受賞者の情報を日本語で掲載するBUZZY ROOTSで気になる音を探して聴いてほしい。より深く、多面的に韓国の大衆音楽の魅力を堪能できるはずだ。
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