中国は38分で配布完了!? コロナ給付金支払いに見る彼我の差
多くの都市では消費券は外食店や小売店、文化体育施設などでの支払に使えるが、ガソリン代として使える消費券を出した都市もある。消費券として配布された金額はどの都市も少額で、平均で人口一人当たり19.6元(300円)にすぎなかった。
中国では今年はかなりの財政赤字になっても景気を回復させる方針なので、今後大型の景気対策が出てくる可能性はあるが、目下のところ国民に直接届く救済策としてはこの消費券のみで、日本に比べるときわめて小粒の刺激策にとどまっている。
一方、日本では国民1人10万円の特別定額給付金を支給することが4月末に国会で決まった。そのために用意された予算は12兆8803億円で、中国全土で消費券として配られた金額より2桁も多い。
日本と中国の経済対策を比較して、まず目につくのが金額の違いである。中国の各都市の中で最も大盤振る舞いをした杭州市でさえ、市民が地方政府から受け取る補助額は、仮に消費券をゲットしたとしても一件あたり526円にすぎず、日本の10万円とは雲泥の差がある。
日本の10万円は貯蓄されかねない
また、補助の出し方に、その性格の違いがはっきり現れている。中国の消費券は期限内に支出しないと無効になってしまうので、消費を直接に喚起することが狙いだということが明らかである。
一方、日本の特別定額給付金は消費せずにそのまま貯金しておくことができるので、コロナ禍で減った所得を補うことが主な目的だと言える。これがどれほど消費を喚起する効果を持つかは今後の検証を待たなければならないが、1999年の「地域振興券」、2009年の「定額給付金」の経済効果がそれぞれ事業規模の3割程度だったことを考えると、おそらく今回もその程度の効果に留まるとみられる。
日本の給付金にしろ、中国の消費券にしろ、それを普段も買っているような食品や日用品の購入に使い、浮いたお金をすべて貯蓄の積み増しに回したとすれば、真水での経済効果はゼロということになる。また、給付金によって一時的に消費が喚起されたとしても、その後で消費が落ち込むとしたら、単に需要を先食いしただけである。
中国の消費券は、先食いでもいいからとにかく当面の消費を喚起して経済を回復の軌道に乗せることを狙っている。一方、日本の給付金は、収入を失い、貯金も底をついたような人にとってはまさしく干天の慈雨となって消費の増加につながるだろうが、給料もそこそこ出ているし、貯金もある人に対しては消費を一時的に喚起する効果さえないかもしれない。本当は、前者のような人だけに給付できれば良かったのだが、ターゲットを絞るのはなかなか難しい。
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