消費税ポイント還元の公式アプリが「使えない」理由
消費増税とポイント還元制度のスタートに伴い、キャッシュレス決済を呼び掛ける東京・巣鴨の商店街(10月1日)
<消費増税に伴う景気悪化を防ぐ重要政策であるはずのポイント還元事業のアプリの使えなさにあちこちから悲鳴が上がる。そこには旧日本軍以来の日本の失敗パターンが見える>
10月1日に消費税が10%に引き上げられ、それとともにキャッシュレスで決済するとその5%または2%分をポイントで還元してくれる制度が始まった。経済産業省によると、最初の1週間にポイント還元の金額が1日平均8億円あったという。この発表をNHKは受け売りして、「滑り出しは順調だ」と報じた。
だが、経済産業省はこのポイント還元制度に2800億円もの国費を投じるのである。還元が行われるのは9カ月間だから1日あたりにすると10億3700万円。1日あたり8億円の還元では、用意した予算が600億円以上余る計算となる。これで果たして順調といえるのだろうか。
このポイント還元事業のなかで、「日本の官僚の質が劣化したことを痛感させられた」と識者たちを嘆かせているのが、ポイント還元が行われるお店の場所を地図上に表示するスマホのアプリである(下の写真)。経済産業省から委託を受けてポイント還元事業を実施している一般社団法人キャッシュレス推進協議会が作ったものだ。
アップルストアでダウンロードした人々の評判も散々である。
「これを作った人は馬鹿なのかな?と思いました」
「やっつけ仕事としか思えない出来ばえです」
「税率を引き上げるのにこんな使い方って、今の政府は正真正銘のア〇なのですか?」
「とにかくひどい!」
平等院鳳凰堂の中にガソリンスタンド?
評判が悪いのもむべなるかな、まず地図上で表示されるお店の場所がムチャクチャである。中日新聞の報道によると、平等院鳳凰堂のお堂の中にガソリンスタンドが出現するそうである。さすがに新聞で報道されたせいか、私が確認した10月14日の時点ではガソリンスタンドは鳳凰堂から別の場所に移動していた。ただアプリ上では、その場所にさまざまな地番の店舗が密集しているように表示される。つまり、騒がれたのでとりあえず表示場所を移しただけで、依然として表示場所は誤っている可能性が高い。
また、東北大学の友人が教えてくれたのだが、東北大学川内キャンパスにあるお店の多くが大学の植物園のど真ん中にあるかのように表示される(下の写真)。青葉城跡にある牛タンのお店も植物園内にも出店したかのように表示される。
アプリにはそれぞれのお店でどのようなキャッシュレスの決済手段が使えるかが表示されるのだが、それも誤りが多くて、本当は使えるクレジットカードが使えないことになっていたり、逆に本当は使えないLINEペイが使えることになっていたりするらしい。
<参考記事>消費税ポイント還元の追い風の中、沈没へ向かうキャッシュレス「護送船団」
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