安くて快適な「白タク」配車サービス
タクシーは複数の客を相乗りさせて二重に料金をとりたいだろうから、むしろ人が乗っている車のほうが乗せてくれると睨んだのです。我々は二人で荷物もあるので、タクシーの側からすると空車のときに我々を乗せてしまうと他に相乗り客を乗せられなくなってしまいます。知人の狙いは見事に的中し、我々は別の客が一人乗っている車に相乗りすることができました。
タクシーの供給不足は構造的
タクシーの供給不足が起きるのは各地の地方政府が参入制限を行っているためです。北京市の場合、2003年末のタクシーの台数は6万5000台でしたが、2012年には6万6000台に増えたのみです(『21世紀経済報道』2015年1月15日)。この間に北京市の人口は1000万人近く増えているので、タクシーが足りなくなるわけです。参入制限を行っているのはタクシー会社(国有企業が多い)の既得権益を守るためだと言われています。
一方、タクシーの料金は長年据え置かれていますので、供給が制限されるわ、値段は安いわで、供給不足が常態化しています。
そうしたなか数年前からスマホでタクシーが呼べる「滴滴打車」、「快的打車」などのサービスが始まり、需給のマッチングにそれなりに役立ちました。しかし、根本的にはタクシーが足りないという問題があり、タクシーを呼んでも3割ぐらいのケースではタクシーが見つからない状況だったため、滴滴打車ではマイカーの所有者にもネットワークに加わってもらうことにしました。
こうして中国で白タク配車サービスが始まりました。並行してアメリカから「優歩」が中国に進出し、さらに専属運転手、専属車両を売り物とする高級路線の「神州専車」が2015年1月に参入するなど、白タク配車サービスがいま急速に発展しています。
内外の大手企業の出資で発展
今や各種の白タク配車サービスに登録されている自動車の数は中国全土で1000万台ぐらいではないかと推計されています(『経済参考報』2015年9月15日)。「滴滴打車」と「快的打車」が合併してできた「滴滴快的」には2015年7月にアリババ、テンセント、テマセクなどが総計20億ドル出資し、「神州専車」にはレノボなどが8億ドル出資し、「優歩」にはインターネット検索大手の百度などが12億ドル出資するなど、内外の資本もこの新興産業に流入しています(『経済参考報』2015年9月18日)。
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