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中国の旅行会社が「新シルクロード」に日本メディアを招待した理由
食事も印象的だった。日本ではなぜか西安イコール刀削麺というイメージがあるようだが、刀削麺は山西省の料理である。西安というと、中国風ハンバーガーとでもいうべき羊肉泡饃がよく知られている。これは小麦粉で作られたパンをちぎって、羊肉のスープにつけて、すいとんのようにして食べるという料理だ。中国では有名だが、日本で食べられるところはそう多くはない。
この料理の醍醐味はパンを自分でちぎるところにある。細かくちぎればちぎるだけおいしくなるのだとか。だが、正直酒の入った宴席でそんなに細かくちぎるのは面倒くさい。というわけでついつい大きくしてしまうのだが、「そんなことでいけません」と怒られてしまうこともある。まるで頑固親父のラーメン屋のようだ(笑)。
他にも西安のハラル・レストラン(イスラム教の戒律に則ったレストラン)では、馬の尻尾の煮込みなど、珍しい料理に舌鼓を打った。餃子専門店では西太后が食べたという餃子宴席を堪能した。なんと16種類もの餃子が出てくるのだ。さまざまな味の餃子はいくら食べても飽きることがない。
日本人は中華料理と大まとめに言うが、中国はともかく広大だ。その地方地方に根ざした特有の料理が存在する。そうした地方料理を楽しむのも旅行の楽しみだ。日本の国内旅行がそうであるように、中国に旅行する時もその地方特有の料理を楽しんでもらいたい。
中国では旅行がブーム、国内旅行も増えている
とまあ、このように無邪気に旅行者気分で楽しんできた。もちろんジャーナリストとしての観察も忘れなかった(この「観察」については別の機会に記したい)が、なにせ招待してくれた中国側の要求が日本人旅行者の目線から改善点を指摘してほしいということなのだから、無邪気に遊ぶのも仕事である。
個人的には、中国の観光地が洗練されつつあると強く感じた。考えてみれば、ここ数年は中国では旅行ブームとなっている。中国人による訪日旅行や爆買いが話題となったが、それ以上の人々が中国国内を旅行しているのだ。彼らを楽しませるための投資や工夫が行われているのも当たり前の話だ。
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その結果として、中国の観光地は驚くべきレベルアップを果たしている。「西安は一度行ったことがあるからもう十分だ」と思っている人は考え直したほうがいい。中国の急成長は経済だけではない。観光地もまた驚くべき変化を遂げているのだ。
残念ながら、この情報はまだ日本にはあまり伝わっていないようで、ツアー中は日本人に会う機会はほとんどなかった。日本から数時間の距離にこれほどの観光地があることを、日本文化のルーツがあることをぜひ知ってほしい。
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