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コロナ禍で進む自転車活用が日本の移動貧困脱却のカギに
日本でこれまで自転車の位置付けが曖昧だったことはあまり知られていない。自治体の関連部署を見ても放置自転車対策が中心で、自転車を活用したまちづくりへの意識は低かった。住民が自転車を駅前で乗り捨てることによる景観の悪化のほうが行政にとっては大きな課題だったのだ。
自転車活用推進法が2017年5月に施行、18年6月に閣議決定された自転車活用推進計画によってようやく日本でも自転車の有用性が明確に認識されるようになる。自転車の価値が見直され、環境、災害、健康、まちづくり、観光などの課題解決を図るために活用が進められることになった。
2020年度から次期計画の策定に向けた有識者会議が開催されている。観光のみならず、免許返納者数が増加していることから、高齢者や障害者に対応した様々な自転車の普及・開発など"生活交通"としての自転車活用が検討されている。
徒歩と自転車で暮らせる街へ
高齢化社会に伴いクルマの運転ができない高齢者の移動手段の確保が課題となっている。国や自治体が免許返納した高齢者の送り迎えをすべて保障できないことは明白だ。家族タクシー(家族送迎)で埋め合わせをするのも大変だ。現場で声を聞くと、高齢者の多くは家族や近所の人に頼らず、自分が行きたい時に外出できる移動手段が欲しいと思っている。
筆者は公共交通から様々なパーソナルモビリティの活用を検討してきたが、自治体や住民にとっても支出が少なく、誰もが一度は乗ったことのある自転車はちょうどいいと考える(体力が低下してしまった人は乗れないが)。
クルマ登場以前からあった地方都市は、小学校区内にほとんどの生活機能が揃い、中高生は自転車で通学できるなど、徒歩や自転車で暮らせるようなコンパクトな村の集合体だったりする。したがって、徒歩と自転車で暮らせる街をつくることが大切だと考えている。新しく自転車道や歩道を作るのではなく、お金をかけずに今ある道路を上手に使うと良い。
コロナ禍を契機に、徒歩・自転車・公共交通・クルマの役割、道路の使い方をもう一度見直してみてはどうだろうか。
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