コラム

<3分解説>イランってどんな国? 実はユダヤ人が国内に数万人いる国の「ちゃらんぽらん」な素顔

2024年01月11日(木)18時35分
イラン・イスファハーンの王の広場

イスファハーンのイマーム広場(写真AC)

<アメリカやイスラエルと敵対する「中東の大国」。2024年の台風の目になるのは、この国かもしれない>

新型コロナウイルスの流行も収まり、アフターコロナでインバウンド・アウトバウンドともに旅をしたい人々が世界にはあふれる。そうした中、日本は2025年大阪・関西万博の開催を控え、国際理解、多文化共生の機運が高まっている。

世界各国から150を超す国・組織が既に参加を表明。「そんな国あったんだ」と驚くこともあるだろう。各国パビリオンの目玉の展示はなにか。世界中の珍しい装飾品や民芸品、美味しい食べ物が一堂に会するまたとない機会だ。連載では、参加表明をしている各国を、手軽にさくっと理解できるように紹介していく。

イランの国旗 イラン・イスラム共和国
 Islamic Republic of Iran

親米だったかつての王政がクーデタで失脚、イスラム革命で反米国家へと180度転換したイラン。以来、悪魔と呼ぶ米国とイスラエルとの対立が続く。

ユダヤ人国家の殲滅を掲げ、イスラエルへ攻撃する武装組織ヒズボラ(アラビア語、ペルシャ語で神の党の意)を支援することでも知られている。

一方、多民族国会のイランには実はユダヤ教徒も少なからず生活している。

欧米をはじめ国際社会の孤立を深める原因となる核開発疑惑がくすぶり続ける中東の大国。石油利権も複雑に絡み合い、反米だけど日本とは仲のいい不思議な国の横顔を3分で読み解く。

イランの地図(写真AC、外務省のデータより作成)

概要

面積:約165万平方キロメートル(日本の約4.4倍)

首都:テヘラン

人口:8,920万人(2023年、世界人口白書2023)

一人当たりGDP:約4,252ドル(2023年4月、IMF)

主な言語:ペルシャ(ペルシア)語、トルコ語、クルド語など

ペルシャ語のあいさつなど
こんにちは サラーム
ありがとう モタシャッケラム、メルシー
さようなら ホダーハフェズ
はい/いいえ バレ/ナ
平和 サラーム

略史

紀元前5世紀 アケネス朝ペルシャ
紀元前3世紀 ササン朝ペルシャ
1925年 パフラヴィー(パーレビ)朝成立
1929年 在イラン日本公使館開設、外交関係樹立
1930年 在日イラン公使館開設(1942年、第二次世界大戦の影響で外交関係断絶、1953年外交関係再開)
1979年 ホメイニ師主導によるイラン・イスラム革命
1979年11月 在テヘラン米国大使館人質事件
1980~88年 イラン・イラク紛争(1980年~1988年)
2020年 米軍がイランの革命防衛隊の精鋭幹部ソレイマニ司令官を殺害、一時「第三次世界大戦」勃発が懸念される事態に
2023年12月 イラン革命防衛隊の司令官が殺害
24年1月 同氏の追悼式があった付近での爆破テロにより360人以上が死傷

過去の万博

2020年ドバイ万博:「伝統と現代の建築の融合」をテーマとし、「古代の安定した文明、歓迎的な国」であるイランの経済、社会発展、文化を紹介。(紹介文をChatGPTで翻訳・要約、加筆)

2005年愛知万博:「人生の"わざ"と智恵」をコンセプトに、万博にあやかった記念切手などを販売。パビリオンでは絨毯や伝統工芸を展示

1970年大阪万博:「2500年にわたる人間関係」をテーマに展示

特産品

ピスタチオ:硬い殻で覆われた豆。ペルシャ語ではペステ

バラ水:ローズウォーターと呼ばれ、ほのかな甘さが人気

絨毯:メッカの方向を指す繊細で緻密な幾何学模様の1000万円を超える高級品から、かわいいデザインで若者に人気の「ギャッベ」などさまざまな種類がある。手先が器用な子どもが長時間こもって機を織ることが国際社会から問題視されてもいる

ギャッベの絨毯

ギャッベの絨毯。かわいらしいデザインが若者にも人気(写真AC)

映画:国家検閲が厳しい中、その網目をかいくぐり、言外の意味を込めて見る者の感受性に訴えかける暗示的、暗喩的な社会派作品の秀逸さで知られる。『友達のうちはどこ?』(アッバス・キアロスタミ監督)や『運動靴と赤い金魚』(マジッド・マジディ監督)が有名

プロフィール

くらふと

主に小中高生向けに異文化理解や世界の諸問題に関するワークショップなどの活動を行う東京外国語大学のボランティアサークル。(協力:南龍太)
Instagram:@tufs_kraft
X:@TUFS_KRAFT

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、15日にトルコで直接協議提案 ゼレンス

ビジネス

ECBは利下げ停止すべきとシュナーベル氏、インフレ

ビジネス

FRB、関税の影響が明確になるまで利下げにコミット

ワールド

インドとパキスタン、停戦合意から一夜明け小康 トラ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story