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英総選挙、どっちつかずより「とっとと離脱」を選んだイギリスは大丈夫か
理不尽かもしれないが、今のイギリスには「とにかく、ブレグジット」という強い風が吹いているのである。
なぜ、ブレグジットなのか
ところで、そもそもなぜブレグジットなのか。経済的に不利益を被るかもしれないのに、なぜ?と筆者はよく聞かれる。
一義的にいうと、「誰かに自分のことを決められるのは、嫌だ」という国民感情がある。
EU加盟国では、国内の法律の上にEUの法律が存在する構造だ。法律を決めるのは欧州議会議員と欧州委員会の官僚で、前者は英国民も票を投じることができるものの、自分が住む地域の欧州議会議員の名前を知っている人はほとんどいないほど、遠い存在だ。欧州委員会は官僚主義の権化として英国民は認識している。
離脱推進者が主張していたのは、「これまでEUに支払ってきたお金を国の医療サービスや教育に回せる」、そして、「英連邦を含む、世界中と自由貿易ができる」こと。
IMFやイングランド銀行、その他の多くの経済や金融の専門組織やシンクタンクは、ブレグジットによって負の影響が出る、特に貧困層が大きな悪影響を受けると警告してきた。
「なぜ、それでもブレグジットをしたいのか」と聞かれるならば、当初の国民投票から年月が経つうちに、「5年、10年後になって、最初の痛みが薄らいだ時に、大きな飛躍ができるのではないか」という見方を出す専門家もいるようになり、決して荒唐無稽の話ではなくなったという背景がある。
イングランド北部を中心に、ブレグジットへの志向が出てきた理由として、「再現のないEU市民の流入を止めたい」という思いもあった。
例えば、こういうことだ。
2004年以降、東欧諸国を中心とした10カ国が一気にEUに加盟したことで、学校、職場、病院でみるみる間に人が増えた。筆者も実際に、病院のアポが取りにくくなり、ポーランドやハンガリー、リトアニアなどからきた人をよく見かけるようになった。
時の政府がEUからの移民流入に一定の歯止めをかけるべきだったのに、と筆者は思う。しかし、それはEUの人、もの、サービス、資本の自由な往来を阻害するものとして、当時は受け止められ、「無制限での受け入れは良いこと」と思われていたのである。
「自分で自分のことを決めたい」。この思いがますます強くなっていることを感じるこの頃だ。
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