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自民党と首相官邸を襲った「ローンオフェンダー」を軽視するな
「論理の飛躍」は深刻
岸田前首相襲撃事件は衆議院和歌山1区補欠選挙での遊説中に発生したものだったが、その被疑者は「選挙制度への強い不満」を抱え、公職選挙法の求める年齢要件(参議院で30歳以上)や供託金(選挙区立候補で300万円)は不当だとして国賠請求を提訴していた(1審、2審ともに棄却)。
今回の被疑者も、衆院選に出馬しようとしたが供託金を用意できず諦めたと報じられている。しかし、選挙制度への不満は、選挙を通じて選ばれた国会議員による法改正で対処するしかない。そうした手続き(政治的な回路)に対して、どうにも甘受できないような「目詰まり」を感じた者がテロに走ったのだとしたら、その論理の飛躍は深刻だ。これを軽視すると、民主政の土台を切り崩すような動きに日本社会が慣れていってしまう。
現在行われている総選挙への影響を最小化するためには冷静かつ謙抑的な受け止めが必要である。だが同時に、3年連続で選挙中のテロが発生してしまったことを考えると、「常軌を逸した個人の犯罪」に矮小化するのではなく、「令和のテロ連鎖」を断ち切るためにどのような政治回路の再構築が必要かを改めて正面から考えていく必要があるだろう。
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