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「不平等な特権待遇」国会議員の文通費に知られざる歴史あり(2)~GHQ勧告の否定から始まった
GHQのウィリアムズが国会議員の郵便無料化について起草した勧告原案 (国立国会図書館所蔵マイクロフィルム)
<昨年11月の特別国会でやり玉にあがった国会議員の「特権」文通費。知られざるその成立の歴史から問題の本質を考える>
国会議員の「文書通信交通滞在費」(文通費)制度を改正する議論が国会で始まっている。自民、公明、立憲民主、日本維新の会、国民民主、共産の与野党6党は3月8日、文通費の見直しに関わる与野党協議会を開催。文通費という名称が実態に沿っていないとして、名称の変更や法改正の必要性について検討することになった。
昨年11月の特別国会で「やり玉」にあがったのが、文通費だ。10月31日の総選挙で初当選、または一度落選して返り咲き当選を果たした衆議院議員に対して、10月における在職日数がわずか1日であるにもかかわらず、文通費100万円が満額支給された。このことに対する疑義が、日本維新の会によって提起されたのだ。
「文通費」の存在をよく知らなかった有権者も含めて、世間の批判が殺到。議論の焦点となったのは、在職1日でも満額支給されるという「月割」制度の不合理だけでなく、そもそも「使途」の制限が制度的に存在せず、議員が好き勝手に使える特権的な「第二の歳費(給与)」になっているのではないかといった点だ。
文通費の規模については、鈴木宗男参議院議員(当時は衆議院議員)が2008年に質問趣旨書を提出しており、福田康夫内閣は「衆議院の予算額は衆議院で57億6000万円、参議院で29億400万円であり、国会法第9条に規定されている月額100万円に12箇月を乗じ、更に各議院の議員定数を乗じて得た額を計上している」と答弁している。現時点で国会議員の定数は衆議院465人、参議院245人で計710人(ただし参議院は3名が欠員中。また2022年7月26日以降は定数が248人になる)。年間約85億円という巨費が支出されていることになる。
このコラムでは前回、「不平等な特権待遇」国会議員の文通費に知られざる歴史あり(1)」として、昭和22年の国会法38条及び歳費法9条の制定直後から「現金ではなく郵便切手購入券(クーポン)を提供する」改正案が提案されていたが、成案とならず幻に終わったこと、当初は月125円だった「通信費」(当時は単に通信費と言った)がすぐに月1000円に値上げされたといった歴史を紹介した。
今回はその前史として、そもそも「文通費がどうやって成立したか」について振り返りたい。
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