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千葉県知事選挙でなぜ自民は衝撃的敗北を喫したのか
当選が決まった後、支持者に挨拶する熊谷俊人氏 くまがい俊人公式チャンネルYouTubeより
<千葉県知事選で熊谷俊人氏が自民系候補に100万票の大差を付け圧勝した。政党支持率で今も圧倒的な自民党がなぜ敗れたのか。選挙結果の分析から見えてくる、来たるべき総選挙への影響>
3月21日投開票の千葉県知事選挙で、熊谷俊人・前千葉市長が約140万票を獲得し当選した。自民党推薦候補の関政幸・前千葉県議に約100万票差をつけた圧勝だ。同時に行われた千葉市長選挙でも、副市長として熊谷市政を支えてきた神谷俊一氏が当選した。
熊谷氏の獲得した約140万票は史上最多票数だが、これまでの千葉県知事選挙の中で100万票近い差がついた前例はある。2013年の知事選挙で森田健作候補が約123万票を獲得、次点の三輪定宣候補(共産党推薦)に対して約94万票の差をつけている。しかしこの選挙は、現職知事だった森田健作氏2期目の信任投票という意味合いが強く、大差で再選を果たすことは織り込み済みの選挙だった。
今回の選挙で勝ったのは新人の非自民系候補だ。4月25日の衆参補選と今秋までの解散総選挙を控える政権与党にとって、「100万票差」のインパクトは大きいだろう。
メディアによる出口調査などを踏まえると、自民党支持層の6割が熊谷氏に投票、今回の選挙は自主投票とした公明党支持層も6割が熊谷氏に投票した傾向が伺われる。自民党推薦候補が支持基盤の票を取りこぼしたのだ。
国政での政党支持率は、最新の各社世論調査によると、自民党がおおむね約3割から4割前後であるのに対して、野党の立憲民主党は、国民民主党、社民党の数値を仮に合算したとしても1割に満たない水準だ。
つまり、中央政界での与野党の顕著な「実力差」が千葉では再現されなかったのだ。それはなぜであろうか。
新しい千葉の「顔」に見事にハマった
1つは、昨年来のコロナ禍で、感染防止対策の陣頭指揮に立つ知事の「顔」が平時に増して重視されるようになっていたことだ。そうした危機時における千葉の新しいリーダーの「顔」として、熊谷氏が見事にハマった感がある。
小池百合子東京都知事、吉村洋文大阪府知事、鈴木直道北海道知事や首都圏などの各知事がコロナ禍で度々メディアに登場し、感染症対策の最前線に立つ姿が報じられてきた。
緊急事態宣言や飲食店などの時短要請で国民の不満が鬱積する中で、党派性とは別に、政権に対して堂々と意見を述べる知事の存在感が増している。実務的な手腕への信頼性や期待だけでなく、市民に丁寧に説明する能力があるか、「メディア映え」する存在であるかどうかも知事選択の重要な基準になっているのだ。
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