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「内部リーク」色があまりに濃厚なNTT・総務省接待事件の深い闇
総務省接待事件は菅義偉首相の命取りとなるのか REUTERS-Yuichi Yamazaki/Pool
<再びの文春砲でNTTに飛び火した総務省接待事件。今後の展開を読み解く3つのポイントと、「国民的インフラ」である通信業務を担うNTTと政界の間に横たわる深い闇>
総務省接待事件がNTTに飛び火した。先週発売された週刊文春による報道を受けて、総務省が内部調査を開始。3月8日に発表された中間報告によると、谷脇康彦総務審議官が計3回総額10万6852円、国際戦略局長も4万8165円(いずれも参加者1人当たりの頭割り単価)相当の接待をNTTとNTTデータ経営陣から受けていたことが判明した。
谷脇総務審議官は、東北新社接待事件を追求された衆議院予算委員会で「国家公務員倫理法に違反する会食は(他には)ない」と答弁したばかりだった。「昨日の今日」とはこのことで、武田良太総務相は「行政に対する信頼を失墜させた」と、谷脇氏を大臣官房付に異動。事実上の更迭処分に踏み切った。
今回のNTT接待事件のポイントは現時点で 3つある。
1つは、接待を受けていた総務省官僚(旧郵政省入省組)の「弛緩ぶり」の相当な深刻さが露呈したこと。当時、総合通信基盤局長だった谷脇氏が受けた接待には1人あたり6万円を超えるものがあった。
同根の接待事件ではあるが、放送事業者の東北新社から通信分野のNTTに拡大した点も大きい。「利害関係者」にあたるかどうかの判断を官僚個人の主観的な判断に任せないために重要な「事前届出制」も機能していなかった。相次ぐ腐敗の発覚で「総務行政の公正」に対する国民の信頼は大きく損なわれた感がある。
「コンプラ研修」を生かせなかったNTT幹部
もう1つは、接待を行っていたNTT側の問題だ。
東北新社という純粋民間会社と違って、NTTは政府出資の特殊会社であり、その役職員が仮に賄賂をもらったら、公務員と同じく収賄罪に問われることになる。つまり、公務員に準じる職務上の「倫理」が期待されている存在なのだ。
実は、私はかつてコンプライアンスの専門家として、NTT東日本の経営陣を相手に講演を行ったことがある。詳細は明らかにできないが、話の中心は「国家公務員倫理規程」および「民・民贈収賄」に関する解説であり、「NTTグループ企業倫理憲章」を定着させるための強いコミットメント(率先垂範)が必要だとか、法令を逸脱するような慣行の存在に対して、見て見ぬ振りをしないことが経営幹部のリーダーシップとして必要だとかいうことを話した。それが活かされなかったのは、とても残念だ。
NTTといえば、もともとは電電公社。国民生活の基盤となる「通信」というインフラを全国津々浦々に提供する会社であり、高い公共性を有する。業務の公正に対する社会の期待は高い。そのNTT経営陣が今回、「率先」して監督官庁である総務省の官僚を接待していたとすれば、コンプライアンス意識の鈍麻はやはり深刻と言えるのではないだろうか。
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