コラム

まるで「ジュラシックパーク」...ロンドン証券取引所から「逃げ出す」企業が相次ぐ理由

2024年12月19日(木)16時13分
企業の上場廃止など「脱出」が相次ぐロンドン市場

ロンドン証券取引所 Neil Hall-Reuters

<英国企業が自国市場での上場をやめて米国での上場を選択するという現実的な脅威。なぜロンドン証券取引所はここまで「凋落」したのか>

[ロンドン発]2009~17年にかけロンドン証券取引所(LSE)を率いたグザビエ・ローレット氏は「LSEは競争力を失った。上場を目指す英国企業が米国での上場を選択する現実的な脅威がある」と継承を鳴らしている。

英紙デーリー・テレグラフ(12月14日付)が報じた。LSEで取引される株式の1日の出来高は18年の75億ドルから昨年は48億ドルに激減した。ハイテク企業が多い米ナスダックの出来高は約70倍の3400億ドル。ロンドン主要市場から流出したのは88社で、参入はわずか18社。

ローレット氏はテレグラフ紙のインタビューに「単純に計算すると流動性の低い市場ではごく普通のIPO(新規公開株式)でさえ理論価格から割り引く発行時のディスカウントが大きくなりすぎる。流動性の低さはIPO後の株価にも影響する」と語っている。

トランプ復活で資本市場は米国1強

米国市場に比べ資本コストが割高なLSEは競争力を著しく失った。「共同富裕」を掲げる習近平国家主席の統制強化で西側資本の中国市場離れは加速。欧州市場にアップル、マイクロソフト、エヌビディア、アマゾン、メタ、グーグルに匹敵するハイテク企業は見当たらない。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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