コラム

増加し続けるウクライナ軍の「脱走兵」は20万人に...「限界見えたプーチン」との妥協はあるか

2024年12月12日(木)20時20分

18歳から志願による任意入隊は認められている。筆者は昨年5月、ウクライナ中部クリヴィー・リフの民間訓練キャンプで、アゾフ海に面した港湾都市マリウポリのアゾフスタリ製鉄所籠城戦でその名を鳴り響かせたアゾフ連隊を志願する若者たちを取材したことがある。

15歳の「ヤクブ」は2回の戦闘任務を経験していた

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2回の戦闘任務を経験していた救急隊員ナザールは15歳だった(昨年5月、筆者撮影)

9週間に及ぶ激しい訓練の後、アゾフ連隊に入隊できるかどうか試験を受ける。「アゾフ連隊に入って祖国を守りたい」と語った15歳の救急隊員ナザールは「ヤクブ」というコードネームを持ち、すでに2回の戦闘任務を経験していた。

武器弾薬を出し惜しみ、ロシア軍を蘇らせてしまったバイデン米政権は「ウクライナ軍は戦場での損失を補うための兵士を動員したり訓練したりしていない」と最低徴兵年齢を25歳から18歳に引き下げるよう求めている。

ゼレンスキー氏は第一の問題は兵士の数ではなく、適切な武器と訓練だと反論する。しかしポーランドの訓練キャンプからは月平均12人のウクライナ兵が脱走する。戦争で荒廃した祖国を再建するには若者たちの力が必要だ。ゼレンスキー氏はいま苦しい決断を迫られている。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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