コラム

ロシアと、大戦で敗れた「枢軸国」との明確な違い...プーチンが国際社会で「決して孤立しない」理由

2024年10月23日(水)16時18分

モディ首相は「われわれはロシアとウクライナの紛争に関し定期的に連絡を取り合っている。問題は平和的手段によって解決されなければならない。一刻も早い平和と安定の確立を全面的に支持する。人道を優先し今後も可能な限りの支援を提供する」と釘を刺すのを忘れなかった。

ドル取引を減らし、西側の経済制裁の威力を減じるのがサミットの狙いだ。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は昨年と同様、サミットに出席、ウクライナや西側諸国を怒らせた。グテーレス事務総長は、ウクライナ侵攻は国連憲章違反とのお題目を繰り返すのが精一杯だった。

大戦で敗れた「枢軸国」とプーチンの違い

BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国から、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、エチオピア、イランを含むより広範なグループに拡大している。トルコやサウジアラビアも新規加盟を目指す。

第二次世界大戦で敗れた「枢軸国」日本、ドイツ、イタリアとプーチンの違いは石油・ガスなど天然資源のあるなしだ。原油価格が1バレル=10~20ドルに暴落しない限り、プーチンは安泰だ。ウクライナ戦争を継続できるし、国際社会で孤立することはない。

世界は今、ウクライナを軍事支援する西側50カ国以上と、ロシアを積極的に支援するベラルーシ、シリア、イラン、北朝鮮、中国。そしてインドや南アフリカ、ブラジル、トルコ、サウジアラビアなどの「第三勢力」に三分する。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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