コラム

サッカー女子W杯、イングランド悲願の初優勝なるか? 「優勝請負人」監督の「成功するための13カ条」

2023年08月19日(土)16時47分

「サッカーの世界は女性のためのものではなかった」

サン紙によると、両親は「サッカーがしたいならサッカーをしなさい」と応援してくれた。1970年代、UEFAが全加盟国に女子サッカーへの投資を義務づけ、サリーナは女子チームのあるクラブに移籍した。「小学校の時は体育の先生になりたかった。サッカーの世界は女性のためのものではなかった。監督になれるとは思わなかったから」と振り返っている。

89年、米ノースカロライナ大学の女子チームでプレーし、女子サッカーが盛り上がる米国の熱気に触発される。「米国にあるものをオランダでつくることに貢献できたら私は幸せになれると思ったの。でも20年かかったわ」とサリーナはサン紙に語っている。オランダに続いてイングランドでも実力を見せつけたサリーナはサッカー界の天井を破ろうとしている。

サリーナは今大会、ラウンド16で敗退した米国女子代表監督の最有力候補に挙げられている。イングランドサッカー協会(FA)のマーク・ブリンガムCEO(最高経営責任者)は男子代表のガレス・サウスゲート監督が退いたあと、サリーナを候補として検討すると語った。「人々は常にその仕事に最適な男性と言う。しかし、なぜ男性でなければならないのか」と。

ライオネスはW杯終了までFAとのボーナス交渉を中断した。「私たちは一丸となって、サッカーを成長させるという強い責任感を感じている。今は大会に集中する一方で、タックルやパス、ゴールの一つひとつがピッチの外で私たちが取り組む活動に貢献すると信じている」。天井を打ち破るという使命感と気概がライオネスを初優勝に向けて突き動かしている。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

独ミュンヘンで車突っ込み28人負傷、アフガン人運転

ワールド

マスク氏「政府機関全体を廃止」、トランプ氏推進の改

ワールド

欧州各国、米の「抜け駆け」を一斉批判 ウクライナ和

ビジネス

米新規失業保険申請、7000件減の21.3万件 小
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザ所有
特集:ガザ所有
2025年2月18日号(2/12発売)

和平実現のためトランプがぶち上げた驚愕の「リゾート化」計画が現実に?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 2
    【徹底解説】米国際開発庁(USAID)とは? 設立背景から削減議論まで、7つの疑問に回答
  • 3
    吉原は11年に1度、全焼していた...放火した遊女に科された「定番の刑罰」とは?
  • 4
    【クイズ】今日は満月...2月の満月が「スノームーン…
  • 5
    夢を見るのが遅いと危険?...加齢と「レム睡眠」の関…
  • 6
    終結へ動き始めたウクライナ戦争、トランプの「仲介…
  • 7
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    駆逐艦から高出力レーザー兵器「ヘリオス」発射...ド…
  • 10
    便秘が「大腸がんリスク」であるとは、実は証明され…
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 3
    Netflixが真面目に宣伝さえすれば...世界一の名作ドラマは是枝監督『阿修羅のごとく』で間違いない
  • 4
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉…
  • 5
    メーガン妃の最新インスタグラム動画がアメリカで大…
  • 6
    戦場に響き渡る叫び声...「尋問映像」で話題の北朝鮮…
  • 7
    2025年2月12日は獅子座の満月「スノームーン」...観…
  • 8
    iPhoneで初めてポルノアプリが利用可能に...アップル…
  • 9
    「だから嫌われる...」メーガンの新番組、公開前から…
  • 10
    極めて珍しい「黒いオオカミ」をカメラが捉える...ポ…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 9
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story