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プリゴジン反乱で「ロシア軍の戦闘力」はどこまで低下する? 兵力的な悪影響だけでない、問題の深刻さ
「誰がロシアを救い、プリゴジンの進軍を止めたのか」
『プーチンの戦争:チェチェンからウクライナまで』の著書があるシンクタンク、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のマーク・ガレオッティ上級アソシエイト研究員はツイートで「『なぜ土曜日(24日)の出来事がロシアを弱体化させず、強靭化させたのか』というロシア紙の記事はクレムリンの新しいプロパガンダ路線をよく表している」と解説している。
コムソモリスカヤ・プラウダ紙は「誰が本当にロシアを救い、プリゴジンの進軍を止めたのか」と題して「プーチンは政敵に対しても、傲慢なオリガルヒ(新興財閥)に対しても平和的に問題を解決しようとし、相手の心に訴えかけることを好む。あらゆる方法を使い果たした時に初めてプーチンは厳しい決断を下す」と優柔不断に見えたプーチンを擁護している。
「すべては最適なシナリオに従って行われたのだ。ロシアは威信を強化し、対外的にも対内的にもどんな危機にも対処できることを示した。ロシアは新たなテストに合格した。プーチンは決して表立った華々しい解決策を選ばず、常に効果的な解決策をとる。わが国がまさに必要としている指導者を得たという確信はますます強くなった」(同紙)
白を黒と言いくるめるプーチン礼賛のプロパガンダは、露ロストフ州で市民がプリゴジンに拍手喝采を送り、「正義の進軍」を阻止するのを拒否する軍や治安組織の背信に目をつぶる。ベラルーシへの波及を恐れたルカシェンコの介入がなければ流血の大惨事は避けられなかった。プーチンにとって、これは「屈辱ではなく、勝利なのだ」(ガレオッティ氏)。
もはや終末期と言うほかない。