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服装、背景、左手のブレスレット...チャールズ英国王、初の肖像画に隠されたメッセージ
チャールズ英国王(3月31日) ADRIAN DENNIS/Pool via REUTERS
<戴冠式行進を4分の1に短縮するなど生活苦の市民に配慮する一方、数々の問題を抱えるチャールズ国王が肖像画で打ち出した新たな英王室のイメージ>
[ロンドン]5月6日に迫ってきたチャールズ英国王の戴冠式の行進ルートが発表された。慈善活動家ら2000人以上の国内外ゲストが招待され、日本からは秋篠宮ご夫妻が参列する。生活費の危機に市民が苦しむ中、「小さな王室」を目指す国王の意向で行進は故エリザベス女王の戴冠式(1953年)の8キロメートルから4分の1の2キロメートルに短縮された。
国王夫妻を乗せた御車はバッキンガム宮殿を出発、ザ・マルを通ってトラファルガー広場南側を曲がり、ホワイトホール(英国の官庁街)を下って移動、戴冠式が行われるウェストミンスター寺院に到着する。御車はギシギシと音を立てながら進むため「悩ましい揺れ」(ビクトリア女王)、「恐ろしい」(エリザベス女王)と評判が悪かったが、改良された。
英王室は内外に深刻な問題を抱えている。王室を離脱したヘンリー公爵(王位継承順位5位)、メーガン夫人との対立を和らげるため、国王は2人に戴冠式の招待状を送った。奴隷貿易について「個人的な悲しみの深さ」を表明している国王は旧植民地国の批判を受け、17~18世紀における英王室と奴隷貿易の関係を調べる研究に協力すると表明した。
女王の戴冠式が行われた53年、英国は依然として砂糖と肉が配給制で、各都市の至る所に爆撃の跡が残されていた。
いま英国をインフレと生活費の危機が直撃する。国王は戴冠式のパレードを大幅に短縮し、公務を担う現役王族の数を絞り込むなど、すでに王室のスリム化に着手している。君主に属する公有地を管理する法人「クラウン・エステート」の洋上風力発電所のリース契約による増益を公共の利益のために使う方針も打ち出している。
肖像画の貴金属・宝石類は権力、富、地位の象徴だが
英名門ケンブリッジ大学で学んだ国王は貧困問題や環境問題に取り組み、2021年には、環境に優しい取り組みに投資するよう企業を促す持続可能な市場構想「テラカルタ(地球憲章)」を発表している。国王の権限を制限し、人々の基本的な権利と自由の信念をうたった1215年の「マグナカルタ(大憲章)」がモデルだ。
ニュースをイラスト入りで伝える雑誌イラストレイテド・ロンドン・ニュース戴冠式号で発表された初のチャールズ国王の肖像画について、英紙タイムズは「王族の肖像画に描かれる貴金属・宝石類は通常、権力、富、地位を意味する。しかし、チャールズ国王の治世で初めて描かれた肖像画には全く異なるメッセージを持つブレスレットが描かれている」と報じる。