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ドイツの極右テロ組織「帝国市民」クーデター計画が浮き彫りにする民主主義の危機
2022年12月09日(金)17時06分
ディトリッヒ上級研究員はコロナ危機でQアノンが広がったことについて報告書の中で「歴史を見ると、危機のたびに陰謀論イデオロギーが拡大している。国民がこれまでと同じように物事をどう続けていけば良いのか分からなくなった時、秩序が失われる。こうして不安は生まれ、その対症療法として陰謀論イデオロギーへと逃避していく」と分析している。
2016年12月、ワシントンのピザ屋に男がライフル銃を持って押し入り、3発を発射した。男は民主党大統領候補だったヒラリー・クリントン氏がこのピザ屋に幼い子供たちを性奴隷として拘束しているというQアノンの陰謀論を信じていた。クリントン氏を嫌うQアノン支持者にとってドナルド・トランプ前米大統領は一種の救世主的存在になった。
昨年1月に米連邦議会を襲撃したのもトランプ氏をあがめるQアノンの信奉者だった。陰謀論イデオロギーがはびこる背景には社会の分断がある。勝者総取りのネオリベラリズム(新自由主義)が拡大させた貧富の格差、コロナ危機、ウクライナ戦争が悪化させたエネルギー危機とインフレで社会のフラストレーションは爆発寸前に達している。
民主主義はまさに危機に瀕している。
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