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ドイツの極右テロ組織「帝国市民」クーデター計画が浮き彫りにする民主主義の危機
拘束された支援者3人のうち1人はロシア出身。オーストリアとイタリアでも1人ずつ逮捕された。このほか27人の容疑者がいるという。容疑者が所有する国内の関係先130カ所以上に3000人超を投入して捜索に当たっている。ナンシー・フェーザー内相は声明で「摘発された組織は、暴力的な幻想と陰謀論に突き動かされている」と述べた。
拘束者の中には米国の過激な陰謀論勢力「Qアノン」の信奉者も複数含まれていた。ドイツ政府が「ディープステート(闇の政府)」に支配されているとの陰謀論を信じ、国家転覆を計画していたとみられている。ディトリッヒ上級研究員は「(陰謀論イデオロギーにおける)暴力の可能性は常にあったが、より具体的になりつつある」と前から指摘していた。
「ドイツのQアノン」
『ドイツのQアノン』という報告書の中で「なぜ陰謀論は今日の社会に肥沃な土壌を見つけることができたのか」という疑問に対してディトリッヒ上級研究員はこう答えている。「現代社会は分断され、伝統的な出会いの場が失われつつある。同時に人々はコミュニティに憧れ、オンラインスペースに見つける人もいる」
「多くの人が日常生活で見出せなくなった自分の人生に意味を与えてくれる物語を渇望している。右翼過激派の物語に目を向けるかもしれない。イスラムに対する戦い、移民に対する戦い、ユダヤ人に対する戦いなどの物語だ。今、私たちは陰謀論イデオロギーへの転換を目の当たりにしている」
独国営国際放送ドイチェ・ヴェレ(DW)によると、ライヒスビュルガー運動のメンバーは第二次大戦後のドイツ連邦共和国の存在を否定している。現在の国家は米英仏に占領された行政上の構築物に過ぎず、戦前の国境がまだ存在していると考えている。宣伝用のTシャツや旗を作り、自分たちでパスポートや運転免許証まで発行している
独連邦憲法擁護庁(BfV)によると、メンバーは国内に約2万1000人、うち5%が極右過激派に分類される。多くは男性で、平均年齢は50歳以上。右翼ポピュリスト、反ユダヤ主義、ナチスのイデオロギーを信奉している。税金を納めることを拒否し、自分たちが保有する小さな「領土」を宣言。拘束されたグループは「疑似政府」を準備していた。
爆発寸前に達した社会のフラストレーション
捜査当局によると、ロシアとドイツの新しい国家秩序を交渉するため暫定政府を設立する計画があったという。グループは銃器に親しみ、一斉捜索で大量の武器や弾薬が押収された。ライヒスビュルガー運動にはドイツ軍や旧東ドイツの国家人民軍の元兵士もかなり含まれ、特殊な軍事訓練を受けた者もおり、以前から危険視されていた。