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ドイツが「脱原発」を延期...ドイツにも解けない「脱原発・脱石炭・脱ロシア」の難題
米欧諸国にとってロシアとの戦争に巻き込まれ、核戦争にエスカレートするという悪夢のシナリオは絶対に避けなければならない。しかしロシアの蛮行を目の当たりにして、もはや安全保障と経済的利益を天秤にかける宥和主義を続けるわけにはいかないと、欧州の決意も固まっている。中国が台湾に侵攻するという悪夢の連鎖反応を抑止する必要もある。
1956年のスエズ危機で米国は英仏両国が中東の原油利権を確保するため帝国のように振る舞うのを許さなかった。これを機に、原油・天然ガスといったエネルギー資源に乏しい欧州はソ連へのエネルギー依存を深めていく。
ドイツは45年までの「ネットゼロ(温室効果ガス排出量を実質ゼロにする)」を目標に掲げ、38年までに段階的に脱石炭と1990年比で少なくとも65%の排出削減を目指す。慎重居士のショルツ氏に脱原発・脱石炭・脱ロシア産天然ガスという超難解な連立方程式を解くことができるのか。
「50年までにネットゼロを達成するためには原発を倍増する必要がある」
国際エネルギー機関(IEA)によると、エネルギー自給率(2020年時点)はドイツが35%。ちなみに日本は11%だ。エネルギー生産国のロシアは191%、米国は106%。石炭依存度が高い中国は80%、インド62%(いずれも19年時点)。化石燃料の中では温室効果ガスの排出量が少なく、水素生産の材料にもなる天然ガスの争奪戦はこれからも過熱していく。
IEAは6月の報告書で「50年までにネットゼロを達成するためには原発を倍増する必要がある。原子力の利用を継続または拡大することを選択した国々では輸入化石燃料への依存を減らし、排出量を削減し、太陽光や風力発電をより多く取り入れることを可能にする」と指摘している。
福島事故で原発への拒絶反応が極度に強まった日本もこうした声に耳を傾けるべきだ。