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一番なついていた犬はロシア兵に銃殺され...「700匹の命」を守る「シェルターの母」
「動物たちを守りたいという一心でした」
女性職員の1人が泣き始めた。シェルター内を再捜索したロシア兵は携帯電話を見つけた。アーシャさんは自分の携帯電話を水樽の中に放り込んで壊していた。女性職員が隠していたのだ。ロシア兵は男性職員を連行し、暴行を加えた。この男性職員が戻ってきたのは翌朝の午前6時だった。アーシャさんはホッと胸をなで下ろした。
アーシャさんに怖くなかったか尋ねてみた。「動物たちを守りたい、シェルターを守りたいという一心でした。何が恐怖なのか分かりませんでした。責任感が恐怖心を上回ったのです」とアーシャさんは当たり前のような顔をして話した。雌ライオンは4月上旬にポーランドに引き取られていった。動物たちの新たな飼い主を見つけるのがアーシャさんたちのゴールだ。
シェルターの物的損害は3万ドル(約400万円)を超えた。戦争で捨てられた動物は増えたのに、ペットフードの供給は減った。犬や猫のエサは月3000~5000キログラムが消費される。電気と水を供給する発電機の燃料も必要だが、35%も値上がりした。ボランティアも有償でなければ長続きしない。犬や猫の去勢・避妊手術に対する偏見も根強く残る。
アーシャさんと同じように動物好きのマーシャさんは「悲しいこと、悪いことが多いからこそ世の中のためになることをしたい」と祖母のシェルターを引き継ぐことを心に決める。アーシャさんは「今はロシアを3度呪いたい。ひどいのはウラジーミル・プーチン露大統領だけと思っていたが、ロシア全体に問題があることが分かりました」と語る。
・アーシャさんが運営するホストメリシェルター
gostomelshelter.com/war
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gofundme.com/f/wwjxya-please-donate