- HOME
- コラム
- 欧州インサイドReport
- 欧州最大の音楽祭で優勝、翌日には戦場に戻っていった…
欧州最大の音楽祭で優勝、翌日には戦場に戻っていった「ウクライナ代表」たち
「アゾフ大隊を攻撃する」というロシア製爆弾の落書き
16日「よう、今日で28歳になったんだ」とSNSに書き込んだプシュクは祖国に戻ったら戦う準備はできているという。これに対して親クレムリン派の暗号化メッセージアプリのテレグラムチャンネルにはロシア製高爆発性破片爆弾に「(アゾフスターリに籠城する)アゾフ大隊を攻撃するという声を聞いた」などプシュクを挑発する書き込みが相次いだ。
決勝では審査員と視聴者の投票でカルシュ・オーケストラが631ポイントを獲得し、2位のイギリスの歌手サム・ライダーの466ポイントを大きく引き離した。プーチン氏に対して宥和的な態度を取るフランスは17ポイント、ドイツは6ポイントと決勝に進んだ25カ国の中でボトム2に沈んだ。
2つの世界大戦を含め、暗黒の戦争を繰り返してきた欧州のプロジェクトにはいずれも平和と繁栄の願いが込められている。ユーロビジョンも対立を避けるため政治色を取るのを目的の一つにしているが、これまでクリミア・タタール人の強制送還やプーチン批判の歌が物議を醸したこともあった。今大会、ウクライナに侵攻したロシアの参加は認められなかった。
視聴者の投票でカルシュ・オーケストラに支持が集まったのは、欧州全体にウクライナ支援の声が広がっているからだ。2位にイギリスのサム・ライダーがつけたのも同国がいち早くウクライナへの武器供与を決めたことと無縁ではあるまい。ボトム2に欧州連合(EU)の主要国であるフランスとドイツが沈む現状がこの戦争を巡る米欧の分断を予感させる。