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プーチンに自国を売り渡し、「戦争の共犯者」に成り下がった「欧州最後の独裁者」
チャタムハウスで講演したスベトラーナ・チハノフスカヤさん(筆者撮影)
<「ロシア軍の補給線を断つ後方からの攻撃を阻止する」と表明したベラルーシのルカシェンコ大統領にも制裁を科すよう、同国の民主派指導者チハノフスカヤ氏は訴える>
[ロンドン発]「欧州最後の独裁者」ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は3月11日、モスクワでウラジーミル・プーチン露大統領と会談した。これに先立ち、ルカシェンコ氏はウクライナに侵攻したロシア軍の補給線を断つ後方からのいかなる攻撃も阻止しなければならないと表明したとベラルーシ国営ベルタ通信は伝えている。
2020年9月、ルカシェンコ氏はプーチン氏から15億ドル(約1750億円)の融資を取り付けた。昨年12月には新たに30億~35億ドル(3500億~4100億円)の支援を要求しているとみられている。ルカシェンコ氏が自分の体制を維持するために、主権をプーチン氏に売り渡したのは誰の目から見ても明らかだ。
キエフ大公国(9世紀末から13世紀)に起源を持つ3カ国のうちロシア、ベラルーシは「悪の枢軸」と化し、残るウクライナを攻撃する。昨年7月、プーチン氏は「ロシア人とウクライナ人の歴史的統一について」という論文の中で「ロシア人とウクライナ人は一つの民族であり、統一性を持っている」との自説を展開した。
「ロシア人、ウクライナ人、ベラルーシ人は欧州最大の国家だった古代ロシアの後継者だ。しかしウクライナのロシア人は自分たちのルーツを否定するだけでなく、ロシアが自分たちの敵だと信じることを強いられている。ロシアは(3カ国の結束を弱めようとする勢力の策略による)『フラトリサイド(兄弟殺し)』を止めるためにあらゆることをしてきた」
「民主主義の闘いは主権を取り戻す闘いに変わった」
キエフ市民が歓喜の声でロシア軍を迎え入れるという妄想が破れたとたん、ウクライナの主要都市への容赦のない無差別攻撃を開始したプーチン氏こそ紛れもない「フラトリサイド」の主犯である。「皇帝気取り」のプーチン氏はロシア正教を広めたウラジミール大帝に自分を重ね合わせて、独裁のため宗教や歴史を都合よく利用しようとしている。
ベラルーシ民主派のリーダーでバルト三国のリトアニアに逃れたスベトラーナ・チハノフスカヤさん(39)は英有力シンクタンク、王立国際問題研究所(チャタムハウス)での講演で、戦争の共犯者ルカシェンコ氏とその政権に国際決済ネットワーク、SWIFTからの排除をはじめ対ロシアと同様の厳しい制裁を科すよう国際社会に求めた。