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<COP26きょう開幕>「2025年ネットゼロ」「30年ネットネガティブ」を目指すスコットランドの酪農家に学ぶ逆転の発想
ノリッシュ・スコットランドのピート・リッチー代表(同)
太陽光発電やバイオマス技術を利用して瓶詰め工場のCO2排出量を70%削減し、戸別配達に3台の電動バンを使う──英BBC放送の「未来の食料」部門で食料・農業賞に輝き、有名コーヒー店や学校にも牛乳を納入するようになった。公正で健康かつ持続可能な食のシステムを目指す慈善団体ノリッシュ・スコットランドのピート・リッチー代表はこう語る。
「CO2を排出しない電動バンを使うことで消費者の受けが良くなる。スコットランドでは電気自動車を購入する際、無利子のローンが利用できる。これでディーゼル車を使って配達するよりも電動バンを使った方がコストを低く抑えられる。また太陽光発電を利用することでエネルギー代も安くなる」
大量生産・大量消費の巨大サプライチェーンの中で、生産者は回し車のハツカネズミと化す。「底辺への競争」という悪夢のサイクルから抜け出すためには地域の消費者と直接つながる必要がある。「モスギール有機酪農場」の場合、有機農法で温暖化対策と環境保護を実現するというストーリーで絆を築き、生産者も消費者も変わることができた。
一方、日本は「福島の記憶が生々しく原発をフルに再稼働できない。エネルギー安全保障上、石炭火力発電という選択肢は放棄できない」「日本が石炭火力発電のインフラ輸出から撤退すれば中国を喜ばすだけ」というストーリーをいつまで語るつもりなのか。COP26での岸田首相の発言に期待したいところだが......。