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「独自の核保有はあり得ない」とドイツ国防相が完全否定した理由とは──確実に進むアメリカと欧州の離反
PESCOにしてもNATOを補完するものなら良いが、アメリカと利害が対立するようになれば有害でしかない。そんなものを作るぐらいならNATOへの貢献度を増すのが先決というのがアメリカの本音だろう。アメリカ軍と戦術核のプレゼンスは今も欧州の外交・安全保障の根幹をなしているが、欧州とアメリカの距離は確実に開いている。
フォンデアライエン国防相(筆者撮影)
フォンデアライエンは「欧州は声を一つにして迅速に危機に対応するため、おそらく多数決方式に向かっていると考えています」「一つの国が欧州の総意を妨げようとしても邪魔立てできません」とEUの意思決定を迅速化させる重要性を強調した。
その一方で「軍を近代化するには数年かかります。ドイツだけではなく他の欧州諸国でも」と、急激な国防費増大にブレーキをかけた。ドイツは今年387億5,000万ユーロの国防費を2021年に426億5,000万ユーロに増やすが、それでも対GDP比の国防費はNATO目標の2%どころか1.5%にも届かない。
ドイツとフランスが結束を強めてEUの純化を図れば図るほど、ブレグジットは不幸な結末を迎え、アメリカのドナルド・トランプ大統領のフラストレーションはピークに達する恐れがある。アメリカの有力シンクタンク、ブルッキングス研究所のブルース・ジョーンズ副所長によると、トランプ大統領の「メルケル嫌い」はすでに相当なものらしい。
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