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バラバラ死体事件に揺れるイタリア総選挙 ベルルスコーニ元首相がキングメーカーに
イタリアは総選挙の最中にある。北部同盟のマッテオ・サルビーニ書記長は事件と距離を置きながら「祖国の安全と社会正義を取り戻すため、もう待てない。一刻も早く政府を樹立する」と語気を強めた。
北部同盟と中道右派連合を組む「フォルツァ(頑張れ)・イタリア」率いるシルビオ・ベルルスコーニ元首相(81)は「社会の爆弾が爆発寸前だ」「ブリュッセルも国際社会もあてにはできない。イタリアに住む権利のない60万人の不法移民を強制退去させる」と表明した。
若者の失業率33%、政府債務は国内総生産(GDP)の132%、低成長の泥沼......。問題が山積するイタリアの総選挙だが、最大の争点は難民問題だ。2016年、北アフリカから地中海を渡ってシチリア島などに漂着した難民は18万人を超えた。
欧州連合(EU)は対岸のリビア政府がボート難民を拘束して投獄するのを支援した結果、昨年、難民の数は12万人を切った。しかしイタリアやギリシャに滞留する難民10万人をEU加盟国に配分する計画は3万1500人しか実行されておらず、イタリアの負担感は強まっている。
世論調査では、フォルツァ・イタリアと北部同盟を中心とした中道右派連合は支持率40%に迫り、あと少しで過半数を獲得する勢いを見せる。パメラさんの事件が最後のひと押しになるかもしれない。EUの政策に批判的な新興政党「五つ星運動」は議会第1党になっても、中道右派連合に遠く及ばない。
イタリアの首相を4期も務め、「ブンガブンガ」と呼ばれるパーティーで裸の女性に囲まれたメディア王ベルルスコーニは脱税で有罪となったため公職には就けない。総選挙で勝利しても首相にはなれないが、キングメーカーにはなれる。次の首相はベルルスコーニの傀儡(かいらい)というわけだ。
1月下旬、EUを訪れてジャンクロード・ユンケル欧州委員長と会談した際「イタリアをポピュリズムから救う男」と報じられた。ベルルスコーニが肯定的に再評価されること自体、イタリアと、引いてはEUの置かれている危機的な状況を物語っている。