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ドイツ、大連立へ 内部対立はらむ中道左派は終わるのか
大連立協議が決裂して今、解散・総選挙になると、SPDは戦後史上最低の得票率をさらに更新する恐れが強い。ならば大連立の中でSPDの存在意義を示すしか生き残る道はない、というのがシュルツ党首の偽らざる胸中だろう。
大連立の合意文書は(1)2022年までに150万戸の住宅を建設(2)医療保険の労使分担(3)高所得者への増税見送り(4)EU改革の推進(5)難民受け入れや家族の呼び寄せを制限――が柱になっている。SPDの党内左派にとっては不満が強く残る内容だ。
成長か分配か
モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)、ビッグデータを利用した「インダストリー4.0」でメルケル首相はデジタル・エコノミーの成長戦略を描く。しかし効率化が進めば富と所得がさらに資産家、インテリ層に集中し、低賃金のサービス産業従事者が大量に生み出され、社会不満は一段と高まる。
「成長」優先の中道右派か、「分配」重視の中道左派か、という対立軸が今ほど求められている時代はない。SPDのフラストレーションはここに凝縮されている。にもかかわらず、EUというネオリベラリズム(新自由主義)の巨大マシーンに組み込まれた欧州では、統合推進か否かが唯一の政治的な対立軸になりつつある。
3度目の大連立が成就しても、すでにメルケル首相と大連立の終わりが始まっていると言わざるを得ない。