コラム

狙え!65兆円市場 100万人を超えた外国人労働者が日本に招き寄せたロンドンの国際送金フィンテック

2017年06月30日(金)16時30分

「お金のワッツアップ」と呼ばれるワールドレミット WorldRemit

世界最大のフィンテック(金融とテクノロジーの融合)見本市「マネー20/20 ヨーロッパ」が6月26日から28日の3日間、コペンハーゲンで開かれ、世界70カ国の1500社、最高経営責任者(CEO)500人を含む3725人が参加した。シンガポールでも来年3月に開かれるが、アジア大会での注目スピーカーはオンライン国際送金のトップ企業「ワールドレミット」の創業者イスマイル・アハメドだ。

kimura170630-2.jpg ワールドレミットCEOのイスマイル・アハメド WorldRemit

メッセージを送る感覚で送金

ロンドンに本社を置くワールドレミットは、スマートフォン(多機能携帯電話)でインスタントメッセージを送るのと同じ要領で簡単に送金できることから「お金のワッツアップ(欧米で人気のメッセンジャーサービス)」として口コミで広がり、途上国や新興国を中心に世界中で急成長している。毎月58万件以上の国際送金を手掛ける。

グーグルのモバイルウォレット「アンドロイド・ペイ」でも使えるようになり、1億1200万人の利用者に安全かつ確実に送金できるという。日本でも資金移動業者として登録し、今年3月からサービスを開始したばかり。出稼ぎ移民を支援する目的でワールドレミットを起業したアフリカ・ソマリランド出身のアハメドは「日本とアジア太平洋はわが社にとって世界的な成長戦略の重要な地域だ」と意欲を見せる。

厚生労働省によると、昨年10月末現在、日本で働く外国人は108万3769人となり、初めて100万人を突破。前年同期比で17万5873人(19.4%)も増加し、4年連続で過去最高を更新した。国別では、中国が最も多く34万4658人(全体の31.8%)、次いでベトナム17万2018人(15.9%)、フィリピン12万7518人(11.8%)の順だった。

日本で働く外国人労働者はワールドレミットを利用すれば、パソコン、タブレット、スマホを使ってインスタントメッセージを家族や兄弟に送るように低額手数料で140カ国以上に送金できる。お金を受け取る方法は現金、銀行振込、モバイルマネー、通話料金の追加など送金先の国で普及しているサービスの形態に合わせて選べる仕組みだ。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

国際刑事裁判所、イスラエル首相らに逮捕状 戦争犯罪

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 5
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story