韓国、2020年の最低賃金の引き上げ率2.87%が「惨事」と言われる訳
実際の雇用状況もよくない。最低賃金が16.4%引き上げられた2018年1月から、前年同月と比べて就業者数がどれだけ変動したかを見てみると、2018年1月は前年同月比33.5万人増で、17年1月の同23.2万人増を上回った。
しかし、2018年2月から8月分月までの数字は、前の年の2月から8月までを大きく下回り、雇用創出の速度は鈍っていた。その後対前年同月比就業者数は増加傾向に変わり、2019年6月には前年同月に比べて28.2万人も増加した(図表2)。
しかしながらこの数値だけで雇用状況が改善しているとは言えない。その理由としては、雇用の多くが政府の財源投入による公共サービス分野で増加したからである。実際、2019年6月現在における公共サービス分野の対前年同月比就業者数は24.9万人増加したことに比べて、製造業分野は6.6万人も減少した。製造業分野の就業者数は2018年4月以降15カ月連続で減少している。
経済の低迷が長期化
韓国銀行は7月に韓国の経済成長率(実質)の予測値を2.5%から2.2%に下方修正した。この結果、経済成長率の予測値は2018年4月から今年の7月までの間で5回も下方修正された。しかしながら、専門家の間では2.2%を達成することも難しいという見解が支配的だ。米中貿易戦争の激化とともに、日本の韓国向け半導体材料の輸出規制強化により半導体等の輸出が減少すると予想したからだ。
一方、韓国銀行が4月25日に発表した「2019年第1四半期実質国内総生産(GDP)速報」によると、2019年第1四半期の経済成長率は対前期比マイナス 0.3%と、世界金融危機だった2008年第4四半期の経済成長率がマイナス3.3%になって以降、およそ10年ぶりの最低値を記録した。
民間および政府の消費支出は対前期比それぞれ0.1%と0.3%ずつ増加したものの、輸出は半導体をはじめとする主力製品の不振が続いた結果2.6%も減少し、さらに設備投資は10.8%も減少した。
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