映画で生き返る光州抗争
当時、ニューヨークタイムズは米軍から通行書を入手することで、光州に出入りすることができたが、ヒンツペーターはチャーターしたタクシーの運転手の協力を得て現地に入り取材に成功した。
民主化に寄与した記者に贈られる「ソン・ゴノ言論賞」を事件から20年の時を経た2003年に受賞した彼は、自らを光州に運んだタクシー運転手に触れ、彼がいなければ取材をすることはできなかったと語っている。そのタクシードライバーを主人公にしたのが本作だ。
この映画は韓国で1200万人もの観客動員数を記録した。近年の急速な経済成長やK-POPアイドルが注目されるいまの韓国と対比すると、警察や軍が手あたり次第に市民に暴力を振るう『タクシー運転手』の時代は遠い過去の出来事のように映るかもしれないが、現在も真相究明の作業が続いている、未完の歴史なのだ。
『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』
2018年4月21日(土) シネマート新宿ほか全国ロードショー
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