コラム

中国経済は、2025年を「復活の年」にできるか...不動産バブル後の中国の「実態」とは?

2024年12月26日(木)16時58分

隠れていた債務が顕在化したことの影響

融資平台が抱える債務については、地方政府が事実上、保証することが暗黙の了解となっており、そうであればこそ、融資平台は巨額の不動産開発を実施できた。

だが当該組織の不良債権が市場の足かせになっていることがハッキリしたことで、中国政府は、暗黙の了解という隠れた債務を顕在化させ、地方政府による正式な債務に切り替える方向性を明確にした。これによって融資平台が抱える債務の大きさがあらためて認識される一方、隠れていた債務が顕在化したことで、一定の透明感につながったといえよう。


12月に入り、習近平(シー・チンピン)指導部は金融政策について、これまでの中立的な姿勢から緩和策に転じる方針を決定。続いて超長期特別国債の発行を増やし、積極的な財政政策を行う方針も確認した。中国の株式市場が上昇に転じたのは一連の政策について市場が期待したからである。

もっとも中国は1人当たりGDPが1万ドルを超えており、いわゆる「中所得国の罠」に陥る可能性が高いことが以前から指摘されてきた。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米国務長官、サウジ到着 ムハンマド皇太子とガザ情勢

ワールド

米、ウクライナ戦争終結へ何が可能か判断 18日外相

ワールド

ロシア副首相、OPECプラスの減産縮小延期を否定=

ビジネス

FRB、利下げにはインフレ低下の確信強まる必要=ボ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン...ロシア攻撃機「Su-25」の最期を捉えた映像をウクライナ軍が公開
  • 4
    2025年2月12日は獅子座の満月「スノームーン」...観…
  • 5
    【徹底解説】米国際開発庁(USAID)とは? 設立背景…
  • 6
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 7
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 8
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 9
    iPhoneで初めてポルノアプリが利用可能に...アップル…
  • 10
    【クイズ】今日は満月...2月の満月が「スノームーン…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story