コラム

日本を苦しめる「デジタル赤字」...問題解決のために、さらなる「赤字の拡大」が必要となるワケ

2024年05月23日(木)17時49分

赤字の拡大を覚悟してでもデジタル化を

ところが生産性を高めるためITに投資すればするほど貿易赤字が拡大し、これが円安を加速させるという皮肉な状況が続く。

ひとたび競争力が落ちた国がそれを復活させるためには、さらに何倍もの努力が必要となる。デジタル赤字が貿易収支の悪化要因になっているからといって、デジタル化に躊躇すれば状況がもっと悪くなることは目に見えている。

短期的には貿易赤字の拡大を覚悟してでもデジタル化を進めると同時に、中長期的にはIT分野の競争力を強化しなければ、取り返しがつかないことになるだろう。日本は30年間、ITを軽視し続けてきたが、そのツケがマクロ経済にも大きな影響を及ぼし始めている図式だ。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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